ウデフリツノザヤウミウシ Thecacera pacifica (Bergh, 1884)
特徴
体地色は黄色から山吹色で、表面は半透明のオレンジ色を呈する。二次鰓の左右に大型の指状突起 があり、突起と尾の先端は黒色から空色のグラデーションで彩られる。触角には触角鞘 があり、後方にかけて空色になる。触角の先端と二次鰓の軸外側は黒色。最大体長は 50 mm。分布
模式産地はアラフラ海。日本の温帯〜亜熱帯沿岸で普通に観察される。インド-西太平洋の他地域からも記録があるが、海外では稀な種で、これまでの「T. pacifica」記録には酷似した T. pikachu との混同が含まれていた可能性が指摘される。メキシコ湾やカリブ海など西大西洋の記録についても、別種の可能性が議論されている。種小名の由来
種小名 pacifica はラテン語で「太平洋の」を意味する形容詞で、模式産地のアラフラ海を含む太平洋海域に由来する。補足
シノニム: Thecacera inhacae。黄色い体に黒い突起の組み合わせがアニメ「ポケットモンスター」のピカチュウを彷彿させることから、日本のダイバーの間では「ピカチュウウミウシ」の愛称で親しまれてきた。和名「ウデフリツノザヤウミウシ」は突起を腕のように振る姿と角鞘 (触角鞘) の形状に由来する。
これまで日本で和名「カンナツノザヤウミウシ」として知られていた未記載種は、近年、新種 Thecacera pikachu として正式記載された (模式産地: 東ティモール)。海外のダイバーが「Pikachu」と呼んできたのはこの T. pikachu の方で、本種 T. pacifica (= ウデフリツノザヤウミウシ) を「ピカチュウ」と呼んできた日本の愛称とは別の種を指していた。T. pacifica は日本では普通に観察されるが海外では稀な種で、海外で「Pikachu」として撮影される個体のほぼ全ては T. pikachu である。
References
- Ohola pacifica n. sp., Bergh L.S.R. (1884). Report on the Nudibranchiata collected by H.M.S. Challenger during the years 1873-1876. Report on the Scientific Results of the Voyage of H.M.S. Challenger during the years 1873-76, Zoology. 10(part 26): 1-154, pls 1-14.
- ウデフリツノザヤウミウシ(新称), 益田一ほか. (1996). 海岸動物 (フィールド図鑑). 補訂版第2版. 東海大学出版会.
- Thecacera pacifica (Bergh, 1883), Terrence Gosliner, Ángel Valdés and David Behrens. (2015). Nudibranch and Sea Slug Identification Indo-Pacific. New World Pubns Inc.
- Thecacera pacifica (Bergh, 1884), Pola, M., Paz-Sedano, S., Guisado Martín, P., Warren, L., Noble, K. & Martín-Hervás, M.R. (2026). The most wanted! Gorgeous, delicate and surprising description of three new polycerid species (Mollusca, Heterobranchia) from East Timor. Zootaxa, 5793(1), 193-217.
本書に掲載されています
Terrence Gosliner, Ángel Valdés and David Behrens. (2018). Nudibranch and Sea Slug Identification Indo-Pacific 2nd Edition. New World Pubns Inc.
New World Publications
本書には Thecacera pacifica の解説・写真が掲載されています。
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ウデフリツノザヤウミウシの写真
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