エリシア・クリスパータ Elysia crispata Mörch, 1863

エリシア・クリスパータ Elysia crispata

Location
メキシコ>ユカタン半島>コスメル>チャンカナブ国立公園
Date
2018/03/17
Size
30mm
Depth
10.0m
Water temperature
??℃

特徴

体長は最大で約 35 mm に達する Elysia 属としては大型の種。よく発達した左右の側足ひだは縁が細かく波打って強くフリル状となり、レタスの葉のように見える。前縁は頭部の前方をまたぐように交差するが、完全には癒合しない。頭部と頸部は側足ひだの前縁から大きく突き出る。
体地色は緑色で、これは消化腺末端の細胞内に取り込んだ褐藻・緑藻由来の葉緑体 (盗葉緑体) に由来する。背腹両面に白色の半透明斑が散らばり、まれにターコイズ色の虹色光沢を放つ細胞が混じる。背側の白色斑は円形で、大型 (径 0.75 mm 以下) と小型のものが混在する。腹面の白色斑はやや楕円形で長軸が体長方向にそろう。足底は完全に透明で、内部の緑色の消化管枝と白色斑が透けて見える。
側足ひだの遠位縁は半透明で内部に色素を含まず、その内側に最大 3 段の色帯が並ぶ。外側から順に細い橙色帯 (不連続〜欠如することあり)、続いて緑〜ターコイズ色の細帯、その内側に灰緑色の太い帯が走る。
触角は明瞭でくるりと巻き込み、先端は半透明白色、根元側は緑色を帯びる。各触角の根元には黒色の眼斑がある。

分布

模式産地はカリブ海。確認されている分布はカリブ海一帯の沿岸〜沖合礁性域、米領ヴァージン諸島、フロリダキーズの沖合礁性域、バハマ周辺。Pierce et al. 2006 はフロリダキーズの内湾マングローブ帯から得られていた個体が別種 Elysia clarki Pierce, 2006 にあたることを示し、本種の確実な分布は外洋側の岩礁・サンゴ礁帯に限定された。水深 0〜数 m の浅所に多い。

種小名の由来

種小名 crispata はラテン語 crispus (縮れた、波打った) の女性形。側足ひだのフリル状にうねった縁取りに由来し、英名「lettuce sea slug」と同じ着眼点による命名。

補足

葉緑体共生の代表種として知られる。摂食する緑藻 (主に BryopsisPenicillus 等) の葉緑体を消化管枝の細胞内に長期保持し、絶食状態でも数か月にわたり光合成産物を利用できるソーラーパワー型の生活を営む。
近縁の Elysia clarki Pierce, 2006 は本種に比べて全体的にほぼ均一な緑色で、白色斑が小さく、側足ひだに濃い青色帯がない (本種は青色帯を持つ個体が多い) ことなどで区別される。
References
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