クロスジウロコウミウシ Cyerce nigra Bergh, 1870
特徴
アルコール固定標本では前後の突起先端間の体長およそ 2.3 cm、突起先端間の体幅約 2 cm、足底から背までの体高 6 mm、足底幅 (ほぼ中央で) 8 mm。地色は黒色、後方の背中央に単独の黄色斑、肛門突起の先端は黄色味。触角は前方の縁が錆赤黄色、上方の溝の上にも同色の短い条、触角の深い溝・縁・先端も似た色。額の前部に 2 本の錆黄色横帯、頭部前縁全体が表層溝で 2 分される強い錆赤黄色帯で彩られ、それは触角まで連なる。生時の体長は 3.5 cm、左右の最も突出する背側突起間の体幅 2.5 cm。背の地色は黒色、突起もまた上面は黒色で黄色の縁と黄色の斑、下面は淡黄色で多数の黒色横条をもつ。背側突起は左右各 3 縦列に配置され、最内側列が最大で約 14 個、最大突起は長さ 10 mm、幅 9 mm、厚さ 0.5-0.66 mm。
分布
模式産地は太平洋・パラオ諸島 Aibukit (= Babeldaob 島西岸の村)。インド-西太平洋のサンゴ礁域に分布する。種小名の由来
ラテン語の形容詞 niger (女性形 nigra) は「黒い」を意味し、地色がほぼ全身黒色である本種の体色にちなむ記述的命名。補足
Cyerce 属は本属設立時に確立され、肛門突起が背中央にあること、足が横走の溝で前後に二分されること、陰茎が刺で武装することなどで他のサクグロサ類と区別される。属名 Cyerce はギリシャ神話の魔女 Kirkē (羅語形 Circe) のラテン化に由来する。References
- Cyerce nigra (Semper) Bergh n. sp., Bergh L.S.R. (1871). Malacologische Untersuchungen. In: C. Semper (ed.), Reisen im Archipel der Philippinen, Wissenschaftliche Resultate. Theil 2, Band 2, Heft 2: 49-118, pls 9-16.
- Cyerce nigra var. ocellata Bergh, Allan J.K. (1947). Nudibranchia from the Clarence River Heads, north coast, New South Wales. Records of the Australian Museum, 21(8): 433-463, pls. xli-xliii and map. https://doi.org/10.3853/j.0067-1975.21.1947.561
- Cyerce nigra, Terrence Gosliner, Ángel Valdés and David Behrens. (2015). Nudibranch and Sea Slug Identification Indo-Pacific. New World Pubns Inc.
- クロスジウロコウミウシ(新称), 中野理枝. (2018). 日本のウミウシ. 文一総合出版.
本書に掲載されています
中野理枝. (2019). 日本のウミウシ. 第二版. 文一総合出版.
文一総合出版
本書には Cyerce nigra の解説・写真が掲載されています。
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