ハナビラウミウシ Cyerce blackburnae K. Moreno, Gosliner, N. G. Wilson, Krug & Á. Valdés, 2025
特徴
体地色はクリーム色から灰色がかった白色で、頭部にも同じ淡色を基調とした暗褐色の不規則な網目模様が走り、頭部の縁には暗褐色の小点が並ぶ。触角は長く、半透明の白色で、暗褐色の網目状の線が縦に 2 列入る。背側突起は球形に近い長楕円形で、ベージュから半透明の白色を地色に、暗褐色の網目模様が広がる。突起の表面には白色の乳頭状の小突起と、円形に集まった隆起斑 (白色〜淡黄色〜鮮黄色のものが混在) が散在する。突起の縁付近にはフクシアピンクのパッチと細かな白点が並び、最外周は淡黄色の点列で縁取られる。腹足の背面はクリーム色で、わずかに褐色の点が散らばり、縁は淡黄色の帯となる。体長は最大 20 mm 前後。刺激を受けると左右の背側突起を交互に振り、漕ぐように泳ぐ独特の遊泳行動を見せる。分布
原記載時は西部太平洋から記録され、模式産地はパプアニューギニアのマダン州バラクーダポイント。グアム、フィリピン (ロンブロン島・シキホール島・ビサヤ諸島) からも記録されている。種小名の由来
米国海洋大気庁で海洋科学と気候政策、海洋保護区の整備に長年携わったクリスティーン・ブラックバーン氏への献名。共著者の一人パトリック・クルーグ博士の同僚として、博士の度重なるウミウシ採集行への協力にも謝意が示されている。補足
摂餌対象として知られるのは緑藻の Udotea geppiorum で、グアムで本種が摂餌している姿が観察されている。発生様式は浮遊期を経るプランクトトロフィー型。Moreno et al. の分子系統解析で姉妹種とされたのは同論文で同時記載された Cyerce tutela で、両種は背側突起のフクシア色の亜縁帯と網目状の暗褐色斑紋を共有してよく似るが、本種の方が触角が明らかに長く、亜縁帯はフクシア 1 本のみであるのに対し、姉妹種では黒・フクシア・橙の 3 本の帯が走る点で区別できる。References
- ハナビラウミウシ(仮称), 小野篤司. (1999). ウミウシガイドブック. TBSブリタニカ.
- ハナビラウミウシ, 小野篤司. (2004). 沖縄のウミウシ. ラトルズ.
- ハナビラウロコウミウシ, 中野理枝. (2018). 日本のウミウシ. 文一総合出版.
- ハナビラウミウシ, 小野篤司 & 加藤昌一. (2020). 新版 ウミウシ. 誠文堂新光社.
- Cyerce blackburnae sp. nov., Moreno K., Medrano S., Gosliner T.M., Wilson N.G., Krug P.J. & Valdés Á. (2025). Phylogenetic systematics of the genus Cyerce (Mollusca: Heterobranchia: Sacoglossa: Caliphyllidae) from the Pacific and Indian oceans with descriptions of nine new species. Zoological Journal of the Linnean Society. 204(1): zlaf030. https://doi.org/10.1093/zoolinnean/zlaf030
本書に掲載されています
小野篤司 & 加藤昌一. (2020). 新版 ウミウシ. 誠文堂新光社.
誠文堂新光社
本書には Cyerce blackburnae の解説・写真が掲載されています。
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