ユニデンティア・アリシアエ Unidentia aliciae Korshunova, Mehrotra, Sp. Arnold, Lundin, Picton & Martynov, 2019
特徴
体長は固定標本で約 7 mm、生体ではより大きい細長種。地色は半透明のクリーム色〜淡黄色で、背中央には途切れがちな細い紫色の縦線が走る。背中の縁に沿って 7〜9 個のはっきり伸びた隆起があり、その上に長く細い指状〜紡錘形の背側突起が房状にまとまって生える。背側突起の中の中腸腺枝はクリーム色〜淡桃色で、半透明の体壁を通して透けて見える。突起の先端付近には目立つ紫色の亜先端帯と、その上に幅広い不透明な白色帯が乗り、上半分には散在する不透明白点が入る。触角は表面平滑で口触手と同じ程度の長さ、先端付近に幅広い不透明な白色帯と紫色帯がある。口触手は基部から半分まで太い紫色の色素が密に被覆し、先端側半分は不透明な白色色素で覆われる。眼点は触角基部に明瞭。分布
模式産地はタイ・タオ島チャーロックベイの人工漁礁(10°03′N 99°49′E、水深 7 m、Holotype ZMMU Op-634 体長 7.2 mm 固定標本、2018 年 1 月 12 日採集)。現時点ではタイのみで知られているが、インド・西太平洋により広く分布する可能性がある。種小名の由来
Korshunova et al.(2019)の記載によると、種小名 aliciae はメキシコの研究者 Alicia Hermosillo への献名。彼女は Sandra Millen とともに Unidentiidae 科の独自性を最初に認識した。補足
地色・背側突起の色彩パターン、歯舌のパターン、受精嚢の数、交尾針の形態において、本種は属内既知 3 種(タイプ種 U. angelvaldesi を含む)のいずれとも明瞭に区別される。系統解析では Unidentia sp. 1(オーストラリア産)との COI 最小 p-distance が 10.76% で、属内他種とは 10.76〜13.88% の範囲にある。生態としてはサンゴ礁近くの人工漁礁構造物(水深 4〜18 m)でヒドロ虫 Corydendrium sp. を捕食する姿が観察され、卵塊は淡橙色のらせん状コードで、通常はヒドロ虫の上に直接産み付けられる。References
- ニチロミノウミウシ(新称), 中野理枝. (2018). 日本のウミウシ. 文一総合出版.
- Unidentia aliciae sp. nov., Korshunova T., Mehrotra R., Arnold S., Lundin K., Picton B. & Martynov A. (2019). The formerly enigmatic Unidentiidae in the limelight again: a new species of the genus Unidentia from Thailand (Gastropoda: Nudibranchia). Zootaxa. 4551(5): 556-570. https://doi.org/10.11646/zootaxa.4551.5.4
本書に掲載されています
中野理枝. (2019). 日本のウミウシ. 第二版. 文一総合出版.
文一総合出版
本書には Unidentia aliciae の解説・写真が掲載されています。
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