フジイロウミウシ Verconia purpurea (Baba, 1949)
特徴
イロウミウシ科の小型種で、生時の体長 8〜13 mm。外套膜は卵形でやや平らに広がり、地色はピンクから赤紫、紫紅まで個体差が大きい。背面の正中線上には両触角の後方から二次鰓の手前にかけて、クリーム色から白色の縦帯または縦斑が走る。縦帯は連続せず途中で分断し、前後二つの長楕円形の斑になることもある。外套縁は幅広い乳白〜クリーム色の帯で縁取られ、その内側には不規則な赤紫の擦れ模様が並ぶ。触角は柄部が半透明で棍部が橙色、二次鰓は半透明の白色で軸の外縁が橙色に染まる。腹足は一様な紫紅色。分布
模式産地は神奈川県・葉山諸島 (相模湾)。原記載時 1949 は相模湾のみから知られていた。その後、グレートバリアリーフ (オーストラリア)、フィリピン、インドネシア、東アフリカ、紅海など西太平洋からインド洋にかけて広く記録されている。種小名の由来
種小名 purpurea はラテン語で「紫色の」を意味し、本種の紫紅色の体色にちなむ。和名「フジイロウミウシ」は藤の花の色 (紫紅色) を体色に重ねたもので、ラテン語の意とほぼ一致する。補足
ピンク〜紫紅地に白色の正中縦帯をもつイロウミウシ類のグループ「Noumea purpurea colour group」の代表種で、同グループには Pectenodoris trilineata や Durvilledoris 属の数種が含まれる (Rudman 1986)。カリブ海産として Marcus & Marcus 1970 が記載した Noumea norba は、白色縦帯が中央で分断され二つの斑に分かれる個体に基づくが、現在は本種と同じ色彩多型の範囲とみなされ、ジュニアシノニムとして扱われる。Abe 1964 や Bertsch & Johnson 1981 の Chromodoris gloriosa や Thorunna gloriosa の記録も本種の誤同定である。従来は Noumea 属に置かれていたが、現在は Verconia 属に分類される。References
- Noumea purpurea n. sp.; フジイロウミウシ(新稱), Baba K. (1949). Opisthobranchia of Sagami Bay collected by His Majesty the Emperor of Japan (相模湾産後鰓類図譜). Iwanami Shoten, Tokyo. 4+2+194+7 pp., pls. 1-50.
- Noumea norba (= Noumea purpurea), Marcus Er. & Marcus Ev. (1970). Opisthobranchs from Curaçao and faunistically related regions. Studies on the Fauna of Curaçao and Other Caribbean Islands. 33(122): 1-129.
- Noumea purpurea Baba, 1949, Rudman W.B. (1986). The Chromodorididae (Opisthobranchia: Mollusca) of the Indo-West Pacific: Noumea purpurea and Chromodoris decora colour groups. Zoological Journal of the Linnean Society. 86(4): 309-353.
- フジイロウミウシ, 鈴木敬宇. (2000). ウミウシガイドブック〈2〉. TBSブリタニカ.
- 高岡生物研究会. (2002). 日本海のウミウシ. 第2版.
- フジイロウミウシ, 中野理枝. (2004). 本州のウミウシ. ラトルズ.
- フジイロウミウシ, 小野篤司 & 加藤昌一. (2009). ウミウシ. 誠文堂新光社.
- Verconia purpurea, Johnson R.F. & Gosliner T.M. (2012). Traditional taxonomic groupings mask evolutionary history: a molecular phylogeny and new classification of the chromodorid nudibranchs. PLoS ONE 7(4): e33479.
季節性
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