ヒロウミウシ Ceratodoris hiroi (Baba, 1938)
特徴
体長5〜7mm程度の小型種。体はやや細長い楕円形でよく扁平し、外見はミノウミウシ類にも似た印象を与える。外套膜には骨片が密に入り、外套縁の張り出しを欠いて足側へなだらかに移行する。前縁には半円形の幅広い頭幕があり、腹面では横溝で足から区切られる。触角は鞘を持たず円錐筒形で、表面には葉状の襞が並ぶ。二次鰓は引っ込まず、単羽状の3枚が浅い弧を描いて並ぶ。外套縁には左右それぞれ7〜9本、鰓の周囲に5〜6本の長い紡錘形の突起が立ち、これが本種の最も目立つ外見的特徴となる。体地色はほぼ全体がバラ色から赤色で、突起の先端だけがわずかに黄色味を帯びる。分布
模式産地は和歌山県の瀬戸(紀伊半島南西岸、瀬戸臨海実験所付近)。原記載では1937年3月に瀬戸で2個体、同年4月に熊本県天草の鬼池でも1個体が採集されている。日本各地のほか香港など西太平洋の沿岸からも記録されている。種小名の由来
種小名 hiroi は、原記載の謝辞で採集に協力した瀬戸臨海実験所の F. Hiro 氏に対する献名。馬場の 1938 年論文は語源を明示していないが、冒頭の謝辞で同氏への感謝を述べており、本種を含む紀伊産後鰓類研究への協力に対する献名と解される。補足
Hopkinsiella Baba, 1938 (現在は Ceratodoris のシノニム) のタイプ種。 バラ色の体地色と外套縁・鰓周りに並ぶ紡錘形の背突起が、 同属内でも本種を識別しやすくしている。References
- Hopkinsiella hiroi, Baba K. (1938). Opisthobranchia Of Kii, Middle Japan. Journal of the Faculty of Agriculture, Kyushu University. 6(1): 1-19. https://doi.org/10.5109/22587
- ヒロウミウシ(新稱), Baba K. (1949). Opisthobranchia of Sagami Bay collected by His Majesty the Emperor of Japan (相模湾産後鰓類図譜). Iwanami Shoten, Tokyo. 4+2+194+7 pp., pls. 1-50.
- ヒロウミウシ, 鈴木敬宇. (2000). ウミウシガイドブック〈2〉. TBSブリタニカ.
- 高岡生物研究会. (2002). 日本海のウミウシ. 第2版.
- ヒロウミウシ, 中野理枝. (2004). 本州のウミウシ. ラトルズ.
- ヒロウミウシ, 小野篤司 & 加藤昌一. (2009). ウミウシ. 誠文堂新光社.
- Ceratodoris hiroi (Baba, 1938) comb. nov., Paz-Sedano S., Moles J., Smirnoff D., Gosliner T.M. & Pola M. (2024). A combined phylogenetic strategy illuminates the evolution of Goniodorididae nudibranchs (Mollusca, Gastropoda, Heterobranchia). Molecular Phylogenetics and Evolution. 192: 107990. https://doi.org/10.1016/j.ympev.2023.107990
季節性
撮影地
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