オオウラメリベ Melibe megaceras Gosliner, 1987

オオウラメリベ Melibe megaceras

Location
インドネシア>フローレス島
Date
2011/06/20
Size
45mm
Depth
18.0m
Water temperature
27.0℃

特徴

体長は最大 40 mm 程度のメリベ類。体表は一様に細長い突起 (papillae) で覆われ、独特の毛羽立った外観を呈する。
背側突起は滑らかで細長く、膨らんだ円筒状で、先端が 2〜4 本に細長く分岐するのが本種の最大の特徴。背側突起の表面には結節 (tubercles) を欠く。背側突起と体には褐虫藻はないと考えられ、体地色は半透明の灰色から半透明の褐色までさまざま。
触角鞘の後縁には細長い突起が 1 本あり、近縁種との識別形質となる。頭巾は小さく (直径約 7 mm)、前縁に 2 列の触手が並ぶ。外側列は均一に細長い触手からなり、内側列は大小の触手が交互に並ぶ。足の前縁には付属の突起がない。
体には不規則な間隔で不透明な白色の斑紋が散らばり、触角・背側突起・頭部・背面・体側面の細長い突起には褐色と不透明な白の縞模様が交互に並ぶ。砂底の上では半透明の褐色と白い斑により極めて目立たなくなる。
口球は幅広く筋肉質で、顎・歯舌をもたない。口球の中央付近の左右には小さなコンパクトな球状の唾液腺が 1 対ある。胃内には 20〜24 枚の薄い三角形のキチン板が並び、そのほとんどはほぼ同じ大きさで規則的に配列する。一部に小型のキチン板も見られるが、近縁種のように大小が交互に並ぶことはない。消化腺は拡散型で胃を取り巻き、後方の背側突起には伸びない。
ペニスは扁平でパドル状で、本属の他種と比較しても特徴的な形状。

分布

模式産地はハワイ・オアフ島・カネオヘ湾の Coconut 島 (Gosliner, 1987)。Gosliner & Smith 2003 によりドバイ、インドネシア、マレーシアからも記録され、インド・西太平洋に広く分布することが示唆された。

種小名の由来

種小名 megaceras はギリシャ語 megas (大きい) と keras (角・突起) に由来し、「大きな角をもつ」を意味する。原記載 (Gosliner, 1987) では「本種の長大な背側突起 (体とほぼ同じ長さに達する) にちなむ」と説明されている。

補足

模式産地はハワイ・オアフ島カネオヘ湾の砂洲 (sand bar) 西側、水深 3 m。模式標本は CASIZ 061507 (1986 年 2 月 12 日採集、Gosliner 採集)。同湾内では Melibe pilosa と同所的に出現する。
浅海の砂底に生息し、活発に這うときは背側突起を水平に伸ばして体を極めて扁平にし、砂上での隠蔽に役立てる。刺激を受けると体を左右に素早く屈曲させて遊泳する。卵塊は砂上に産まれ、粘液で基質に付着する幅広い渦巻状の帯で、1 つのカプセル内に 1〜3 個の卵 (径約 72 µm) が入る。24〜26°C で 3 日後にプランクトン栄養性の veliger 幼生 (殻長 128 µm、type-1) が孵化する (Gosliner, 1987)。
系統解析では Melibe megaceras はインド・西太平洋系の 7 種を含む大きなクレードの姉妹種とされる。このクレードのメンバーは頭巾表面の突起、触角鞘の突起 (M. viridis では二次的に消失)、突起のある体表 (M. digitataM. tuberculata で二次的に変化)、内外いずれかの膣腺の存在を共有派生形質とする。
本種は特徴的な細長い背側突起 (2〜4 本に分岐)、結節を欠く滑らかな表面、消化腺が背側突起に伸びないこと、扁平なパドル状のペニスにより、属内の他種と容易に区別できる。M. digitata および M. tuberculata と同様、背側突起の結節を欠く点で類似する。
References

本書に掲載されています

中野理枝. (2019). 日本のウミウシ. 第二版. 文一総合出版. 表紙

中野理枝. (2019). 日本のウミウシ. 第二版. 文一総合出版.

文一総合出版

本書には Melibe megaceras の解説・写真が掲載されています。

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