ナガヒゲイトヒキウミウシ Pseudobornella qingdaoensis S.Q. Zhang & J.H. Wang, 2025
特徴
体長は最大 40 mm に達する大型のイトヒキウミウシ属。地色は半透明の黄色から暗褐色までさまざまで、橙色から褐色の小斑と白色斑が全身に散在する。一部の個体では白色斑が背側の両側に縦の縞のように並ぶ。頭部前縁は丸く、口の両側にそれぞれ 4〜5 本の滑らかで細く先細る口触手をもつ。嗅角鞘は非常に長く伸び、その上縁には側方へ広がる 4 本の指状突起と、特に長い 1 本の後方突起を備える。嗅角には約 12 枚の薄板がある。背側両縁には 4 対の突起が並び、後方に向かうほど小さくなる。各突起の内面には多数の枝分かれしない鰓が付属する。腹足は淡桃色で薄い暗色斑を散らし、頭部とは横方向の長い溝で明瞭に区切られる。分布
模式産地は中国・山東省・青島の Golden Beach Park 潮間帯。中国・山東半島沿岸 (青島および乳山) の岩礁性潮間帯から記録されている。日本国内で従来 Pseudobornella orientalis として扱われてきた個体のうち、色彩や形態の特徴から本種に該当する可能性のあるものがあり、分布が日本沿岸にも及ぶ可能性が示唆されている。種小名の由来
模式産地である中国・青島 (Qingdao) に因む。補足
餌はヒドロ虫で、岩礁性の潮間帯に生息する。イトヒキウミウシ属はこれまで Pseudobornella orientalis (イトヒキウミウシ) のみを含む単型属と考えられてきたが、黄海産の個体群を分子系統と外部形態の両面から検討した近年の研究によって別種と判定され、本種が属内 2 番目の種として記載された。Pseudobornella orientalis との外見上の主な違いは、背面に黄色の斜め縞をもたず、白色斑が顕著に散在する点にある。和名「ナガヒゲイトヒキウミウシ」は中野理枝による新称。References
- イトヒキウミウシ, 中野理枝. (2004). 本州のウミウシ. ラトルズ.
- イトヒキウミウシ属の1種, 小野篤司. (2004). 沖縄のウミウシ. ラトルズ.
- イトヒキウミウシ,ナガヒゲイトヒキウミウシ(新称),オナガイトヒキウミウシ(新称), 中野理枝. (2018). 日本のウミウシ. 文一総合出版.
- イトヒキウミウシ,ナガヒゲイトヒキウミウシ, 小野篤司 & 加藤昌一. (2020). 新版 ウミウシ. 誠文堂新光社.
- Pseudobornella qingdaoensis sp. nov., Zhang S. & Wang J. (2025). Description of a new species of Pseudobornella Baba, 1932 (Gastropoda, Nudibranchia, Dendronotidae) from the Yellow Sea. ZooKeys. 1241: 301-314. https://doi.org/10.3897/zookeys.1241.155540
本書に掲載されています
小野篤司 & 加藤昌一. (2020). 新版 ウミウシ. 誠文堂新光社.
誠文堂新光社
本書には Pseudobornella qingdaoensis の解説・写真が掲載されています。
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ナガヒゲイトヒキウミウシの写真
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