ドリプリスマティカ・バロット Doriprismatica balut S. B. Matsuda & Gosliner, 2018
特徴
体長 8〜13mm 程度のイロウミウシ科ドリプリスマティカ属の一種。体は細長く、外套膜は薄いキャラメル色で、縁にかけて少し色が濃くなる。外套膜の縁には永続的および半永続的な波打ちがあり、内側に細い白色帯、その外側に太い黒色帯が走る。黒色帯は途切れることなく連続するのが特徴で、これが近縁の Doriprismatica atromarginata (Cuvier, 1804) との見分け方の一つとなる (D. atromarginata では黒色帯に複数の切れ込みがある)。外套腹側にも内側の白色帯がもう一本走る。二次鰓は半円状に並んだ 12〜14 本の単羽状の枝からなり、一部の枝は先端付近で二又に分かれる。鰓は外套と同色で半透明の白色を帯び、先端は黒色で縁取られる。触角はクリーム色〜キャラメル色で、前後両面に黒色の縦線が走り、10〜12 枚の密に並んだ褶葉を持つ。
本種は属内で唯一はっきりとしたラキス歯を持つ点でも区別できる (D. rossi、D. atromarginata、Doriprismatica sibogae、Doriprismatica paladentata はラキス歯を欠く)。卵塊は半透明で、明るい黄色の卵が比較的大きく、直接発生型と推定される。
分布
フィリピン、インドネシア。模式産地はフィリピン・バタンガス州マビニ (カランパン半島)、マリカバン海峡。種小名の由来
種小名 balut は、フィリピンの郷土食「バロット」(孵化直前のアヒルの有精卵を加熱したもの) に由来する。本種の卵が大きく直接発生を示唆することにちなんで命名された。補足
和名は学名の音写に基づくドリプリスマティカ・バロット。2017 年の改訂の分子系統解析により、本種はドリプリスマティカ属内で他の全種を含むクレードの姉妹群となる独立系統として認識された。種内の COI 配列に変異がみられないことも、近縁種からの強い遺伝的隔離を示唆する。References
- グロッソドリス属の一種, 殿塚孝昌. (2003). ウミウシガイドブック〈3〉. TBSブリタニカ.
- Doriprismatica sp. 1, Terrence Gosliner, Ángel Valdés and David Behrens. (2015). Nudibranch and Sea Slug Identification Indo-Pacific. New World Pubns Inc.
- Doriprismatica balut sp. nov., MATSUDA S.B. & GOSLINER T.M. (2018). Glossing over cryptic species: Descriptions of four new species of Glossodoris and three new species of Doriprismatica (Nudibranchia: Chromodorididae). Zootaxa. 4444(5). https://doi.org/10.11646/zootaxa.4444.5.1
本書に掲載されています
Terrence Gosliner, Ángel Valdés and David Behrens. (2018). Nudibranch and Sea Slug Identification Indo-Pacific 2nd Edition. New World Pubns Inc.
New World Publications
本書には Doriprismatica balut の解説・写真が掲載されています。
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ドリプリスマティカ・バロットの写真
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