サラームミノウミウシ Baeolidia salaamica (Rudman, 1982)
特徴
体長 9〜20 mm の小型のミノウミウシ類。体は幅広く細長く、口触手は長く先端が丸く尖る。触角は口触手の約 3 分の 2 の長さで、後面に丸い乳状突起が並び、側面にもまばらに乳状突起をもつが前面にはない。腹足の前角は角張り、前縁は上下 2 枚の薄板に分かれる。背側突起は長く円筒形でわずかに背腹方向に扁平で、近縁の Baeolidia major や Baeolidia australis の葉状突起とは外見的に明らかに異なる。突起列は心嚢前に単列の弧、心嚢後に弧 1 つと斜めの単列が 4〜5 列。体地色は半透明の白色で、内部臓器の薄橙色〜薄黄色が透けて見える。頭部の触角下には頬球の橙色が透ける。頭部には白色の斑があり、触角の後ろには白い菱形の斑紋が並ぶ。触角は基部が薄橙色、上部 3 分の 1 が白色。背側突起は半透明で外側に白色の斑があり、刺胞嚢付近にしばしば橙色を帯び、内部の消化腺は灰緑色から濃褐色を呈する。
分布
模式産地はタンザニア・ダルエスサラーム港入口の North Reef。原記載時はこの 1 地点のみから知られていた。後年の観察ではパプアニューギニア、フィリピン、日本、ハワイまで分布が拡張されているが、これら個体が原記載のタンザニア産個体と同一種か否かは分子データによる確認が望まれる。種小名の由来
種小名 salaamica は模式産地のダルエスサラーム (Dar es Salaam, タンザニア) に由来する地名形容詞。補足
色彩は東太平洋産の Spurilla chromosoma に類似するが、本種は口触手が長く背側突起が半円筒状をなす点で外見的に区別される。本属で褐虫藻共生をもたない例として記述された種で、特定の摂餌対象は確認されていない。References
- スプリラ・サラアミカ, 中野理枝. (2004). 本州のウミウシ. ラトルズ.
- ベルギア・サラアミカ, 小野篤司 & 加藤昌一. (2009). ウミウシ. 誠文堂新光社.
- Carmona L., Pola M., Gosliner T.M. & Cervera J.L. 2014. Review of Baeolidia, the largest genus of Aeolidiidae (Mollusca: Nudibranchia), with the description of five new species. Zootaxa, 3802 (4): 477–514.
- Baeolidia salaamica, Terrence Gosliner, Ángel Valdés and David Behrens. (2015). Nudibranch and Sea Slug Identification Indo-Pacific. New World Pubns Inc.
- サラームミノウミウシ(新称), 中野理枝. (2018). 日本のウミウシ. 文一総合出版.
本書に掲載されています
中野理枝. (2019). 日本のウミウシ. 第二版. 文一総合出版.
文一総合出版
本書には Baeolidia salaamica の解説・写真が掲載されています。
Amazon で本書を見る PR (Amazon アソシエイト)季節性
撮影地
撮影地を読み込み中...