テヌウニシキウミウシ Ceratosoma tenue Abraham, 1876
特徴
体は比較的高く細長く、足は非常に大きい。外套後端は体の中央よりやや前方に位置し、長い湾曲した後方ホーンとなって背面正中線に立ち上がる。ホーンは Ceratosoma trilobatum と同様に垂直に立てられることが多いが、後方に倒れて水平に保たれることもある。頭部周囲では外套膜の縁が硬い細い棚を成すが、その後ろの「首」領域では外套膜の縁が一旦欠落し、鰓と触角の中間あたりに小さな側葉として再び現れる。この側葉の後方で外套膜の縁はいったん細くなり、鰓直前で大きな第二の側葉を形成する。鰓と触角の構造、後方ホーン上に密集する外套腺は C. trilobatum に類似する。体色変異は大きい。北西オーストラリア産は白っぽい地色に大小の橙色斑と紫色のしみが散り、外套膜の縁には破線状の紫色線、足縁にも紫色斑が並ぶ。タンザニア産は全身が黄緑色を呈し、足縁付近では黄褐色味を帯び、小さな黄色斑とトルコブルーの斑点が散在し、外套膜の縁には黄色味のある黒紫色線、触角は薄い黄褐色で先端が紫色、鰓軸はワインレッドを示す。クイーンズランドのリザード島やニューサウスウェールズ北部産は橙褐色地に不規則な白色縁と背面正中線の白色斑をもち、白色域内では橙黄色斑が密に並ぶ。生体長 100 mm を超え、大型個体では 130 mm に達する。
分布
インド西太平洋に広く分布し、紅海、東アフリカ (タンザニア)、インドネシア、フィリピン、熱帯オーストラリア、ニューカレドニア、日本、ノーフォーク島から知られる。種小名の由来
種小名 tenue はラテン語で「細い・薄い」の意で、本種の細長い体形にちなむ。補足
本種はかつて Ceratosoma trilobatum としばしば混同されてきた。両種は後方ホーンの発達と外套膜の縁の連続性が類似するが、Ceratosoma tenue では触角と鰓の中間に小さな第二側葉が独立して存在し、C. trilobatum では外套膜の縁が頭部から鰓前方の翼状葉まで連続する点で区別される。フエフキダイ科の魚 Lethrinus chrysostomus の胃内容物として確認された個体は、ニシキウミウシ属に対する魚類の捕食を示す最初の確実な証拠とされた。References
- Ceratosoma tenue Abraham, 1876, Rudman W.B. (1988). The Chromodorididae (Opisthobranchia: Mollusca) of the Indo-West Pacific: the genus Ceratosoma J. E. Gray. Zoological Journal of the Linnean Society. 93(2): 133-185. https://doi.org/10.1111/j.1096-3642.1988.tb01532.x
- テヌウニシキウミウシ(新称), 小野篤司. (2000). ウミウシガイドブック. 第2版. TBSブリタニカ.
- ケラトソマ・テヌウ, 殿塚孝昌. (2003). ウミウシガイドブック〈3〉. TBSブリタニカ.
- Ceratosoma tenue, Johnson R.F. & Gosliner T.M. (2012). Traditional taxonomic groupings mask evolutionary history: a molecular phylogeny and new classification of the chromodorid nudibranchs. PLoS ONE 7(4): e33479.
季節性
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