テネリア・クイテロルム Tenellia kuiterorum (Rudman, 1981)

テネリア・クイテロルム Tenellia kuiterorum

Location
オーストラリア>ニューサウスウェールズ>Chowder Bay
Date
2021/05/27
Size
3mm
Depth
5.0m
Water temperature
17.0℃

特徴

体長 5〜7 mm のごく小型のミノウミウシ類。体は細長く、頭部直後で最も幅が広い。触角口触手はいずれも極めて細長く、滑らかで先端は丸い。背側突起は心嚢を挟んで前 2 列、後 4〜5 列に並ぶ。各列の突起数は最大 4〜5 本。
背側突起の形状はミノウミウシ類のなかでも特異で、本種の最大の識別形質となる。基部は細く、先端近くで大きく膨らみ、その先がさらに細まって丸まる。膨らんだ部分の周囲には長く先細りの「触手状突起」が 6 本環状に並び、その上方にさらに 3〜4 本の小さな突起がある。これらの突起は独立に動かすことができ収縮性をもち、餌とするヒドロ虫 (チューブラリア科の Zyzzyzus spongicola) のポリプの触手配置をそっくり模倣する。
全体に橙色を呈し、背側突起の先端は際立つ白色。内臓が透明な体壁から透けて見えるため、口球は橙赤色、生殖腺は乳橙色など、部位ごとに異なる色合いに見える。背側突起の上皮はほぼ透明で、先端近くに白点列がある。中腸腺は基部で黄褐色、先端で暗い赤橙色を呈する。刺胞嚢は鮮やかな白色。触手状突起は半透明の白色。
背側突起は受動的な構造ではなく、針で背面に触れると全突起が刺激源に向かって屈曲し、接触したものは刺胞嚢の孔から刺胞を放出する能動的な防御器官として機能する。

分布

模式産地はオーストラリア・ニューサウスウェールズ州のシドニー湾グリーン・ポイント (水深 15 m、海綿上)。同州南部ナルーマ沖のモンタギュー島 (水深 1.5 m、ヒドロ虫を伴う海綿上) からもパラタイプが採集されている。

種小名の由来

種小名は、模式標本を採集したオーストラリアの水中写真家 Rudie Kuiter 氏と妻 Alison Kuiter 氏夫妻への献名。原記載時は単数属格形 kuiteri として発表され、後に夫妻を献名対象とする趣旨に合わせて複数属格形 kuiterorum に修正された。Kuiter 姓はオランダ語起源で、原音は「コイテル」に近い。

補足

本種は単独性のチューブラリア科ヒドロ虫 Zyzzyzus spongicola (海綿に部分的に埋まって生育する) のみを餌とする。背側突起の二重の触手状突起列は、餌ポリプの口側と反対側の触手配置をそのまま再現したものとされ、ミノウミウシ類のなかで知られる最も精緻なポリプ擬態の例とされる。ポリプの軸は黄白色、本体は橙色、口部は白色という餌の色彩配列が、背側突起の中腸腺・刺胞嚢の色彩配列に対応している。
References
読み込み中...

撮影地を読み込み中...


タグ:
観察地: ×

該当 0


学術データベース

世界のウミウシの観察データは国際的な海洋生物多様性データベースで公開されています。

詳しくはこちら