ツマグロモウミウシ Placida barackobamai McCarthy, Krug & Á. Valdés, 2017

ツマグロモウミウシ Placida barackobamai

Location
日本>神奈川>葉山>権太郎岩
Date
2008/09/07
Size
8mm
Depth
5.0m
Water temperature
27.0℃

特徴

体長は最大3mm程度の小型種。地色は黒で、頭部には左右一対の黄橙色斑があり、その近くに黒い眼点が見える。背面には円筒状の背側突起が密に並び、近位 (体側寄り) は黄橙色、遠位 (先端寄り) は黒、最先端には白色の小さな点がある。触角は黒で、後縁に基部から先端まで通る白いストライプがあるのが本種を見分ける重要な特徴。口触手は黒く、足の前角は黄橙色で、内側には黒い切れ込みが入る。

分布

模式産地はアメリカ・ハワイ州マウイ島マリコ湾。中部から西部太平洋に広く分布し、ハワイ諸島・グアム・フィリピン・オーストラリア (シドニー)・日本 (神奈川) で記録されている。日本国内では1959年に馬場菊太郎Placida cremoniana (= 当時の同定) として初記録した本州沿岸の個体群がこの種に該当する。

種小名の由来

種小名 barackobamai は、アメリカ合衆国第44代大統領バラク・オバマへの献名。模式標本がオバマの出生州ハワイで採集されたこと、グローバルな気候変動対策への貢献、そして2016年8月26日にパパハナウモクアケア海洋国立記念物を当時世界最大の海洋保護区へ拡大する大統領宣言を行ったことを讃えて命名された。

補足

従来、地中海から東太平洋・西太平洋・インド洋まで世界に分布するとされてきた Placida cremoniana (Trinchese, 1892) は、McCarthyらの分子系統解析 (COI・16S・H3) によって少なくとも4種からなる隠蔽種複合体だと判明した。本種はそのうちの1つで、地中海原産の真の P. cremoniana と区別される。日本で1959年以降「ツマグロモウミウシ Placida cremoniana」として記録されてきた個体群の多く (本州産) は本種に該当することがわかっており、太田ほか 2021 は本種に和名「ツマグロモウミウシ」を当てている。糸状緑藻 Derbesia sp. を主な食草とし、産卵される卵は小さく (径約54µm)、planktotrophic な分散型幼生を産むため、太平洋の広域に分布できると考えられている。
References

本書に掲載されています

中野理枝. (2019). 日本のウミウシ. 第二版. 文一総合出版. 表紙

中野理枝. (2019). 日本のウミウシ. 第二版. 文一総合出版.

文一総合出版

本書には Placida barackobamai の解説・写真が掲載されています。

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