センジュミノウミウシ Phyllodesmium briareum (Bergh, 1896)
特徴
生時の体長 13〜20 mm 程度の中型のミノウミウシ類。体地色は淡褐色〜オリーブ褐色を基調とし、背面に暗色の小斑が散在する。触角の周囲、頚部背面、足の前縁は地色が淡く不点状。口触手 (oral tentacles) は触角よりも明らかに長く、触角・口触手とも単純で円柱形。背側突起は左右各 4 群に分かれて並び、前 2 群は互いに接近する。各突起は細長く真直で先端が膨らんだ棍棒状を呈し、表面は平滑。頭部前縁は幅広く、左右に三角形の張出しをもつ。本属の他種と同じく、刺胞嚢を欠くのが大きな特徴。分布
模式産地はインドネシア・アンボン島近海 (Mer des Indes, Amboine)。インド-西太平洋の熱帯〜亜熱帯域に広く分布する。サンゴ礁の浅所で軟質サンゴ Briareum 属 (八放サンゴ亜綱) のコロニー上または近接した転石下から見つかる。種小名の由来
種小名 briareus はギリシャ神話の百手巨人ブリアレオス (Briareus / Briareos) に由来する。多数の腕をもつブリアレオスを、本種が背面に多数の背側突起を備える姿になぞらえた命名と解される。後に同属名 Briareum Blainville, 1830 の軟質サンゴが本種の主要な寄主・餌として知られるようになり、結果として種小名と餌生物名が一致することとなった。補足
原記載は Bergh が新属新種 Ennoia briareus として、Bedot と Pictet によるマレー諸島航海 1890 で得られた単一個体に基づいて記載したもの。属名 Ennoia はグノーシス主義の概念「神的思考 (Divine Thought)」に由来し、Bergh は脚注で Flaubert 著「聖アントワーヌの誘惑」(1895 年版) を典拠として引用している。後に Ennoia は Phyllodesmium Ehrenberg, 1831 のシノニムとして整理され、現組合せが確立した (現組合せの author 表記の括弧書きはこの属移動を示す)。Phyllodesmium 属の他種と同様、刺胞嚢を欠き、寄主軟質サンゴから取り込んだ褐虫藻 (zooxanthellae) を背側突起内に保持する盗共生 (kleptoplasty) を行う「太陽電池型」のミノウミウシとして知られる。References
- Ennoia briareus Bgh. n. sp., Bergh R. (1896). Eolidiens d'Amboine (Voyage de MM. M. Bedot et C. Pictet dans l'Archipel Malais). Revue Suisse de Zoologie. 4: 385-394, Planche XVI.
- Phyllodesmium briareum, Rudman W.B. (1981). The anatomy and biology of alcyonarian-feeding aeolid opisthobranch molluscs and their development of symbiosis with zooxanthellae. Zoological Journal of the Linnean Society. 72(3): 219-262. https://doi.org/10.1111/j.1096-3642.1981.tb01571.x
- フィロデスミウム・ブリアレウム, 殿塚孝昌. (2003). ウミウシガイドブック〈3〉. TBSブリタニカ.
- センジュミノウミウシ(新称), 小野篤司. (2004). 沖縄のウミウシ. ラトルズ.
季節性
撮影地
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