ゲンノウツバメガイ Chelidonura varians Eliot, 1903

ゲンノウツバメガイ Chelidonura varians

Location
マレーシア>ボルネオ島周辺>マブール島>パラダイス
Date
2011/05/19
Size
50mm
Depth
6.0m
Water temperature
30.0℃

特徴

体地色は深い黒色から濃い藍色で、ベルベットのような光沢を帯びる。頭楯の縁、側足の縁、二叉した尾の外縁、頭部正中線、後端の二本の尾の間など、体の各縁辺に細く鮮やかな電気青色のラインが走る。頭楯は左右に大きく張り出し、前縁には獲物を探知するための感覚毛が並ぶ。外套楯後端は左右に二叉し、左側の尾が右側より明らかに長く伸びる。体長は最大で約70mmに達する。外見の似た Philinopsis gardineri とは、本種に細長い尾があることで識別できる。

分布

熱帯インド・西太平洋に広く分布する。紅海・東アフリカ沿岸からモルディブ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、日本南部、パプアニューギニア、ソロモン諸島、ニューカレドニア、フィジー、オーストラリア北部、ロード・ハウ島まで記録がある。砂泥底や礫混じりの礁池、藻場で見られ、水深 30m 程度までの浅所が中心。

種小名の由来

ラテン語の varians は「変化する、異なる」の意。ただし Eliot による原記載では命名の理由が示されておらず、実際には体色パターンの個体変異は乏しい。

補足

扁形動物 (アカエル類などの無腸動物) を専門に捕食する肉食性で、強力に発達した筋肉質の咽頭球を吸引ポンプのように使い、獲物を文字どおり吸い込む。カノコキセワタガイ科のなかで Odontoglaja を除き歯舌を失った系統に属するが、本属では筋肉質咽頭球が独自に発達して捕食器として機能する。サンゴ水槽でしばしば害を与える扁形動物 (プラナリア類) の駆除目的で、Blue Velvet Headshield Slug や Velvet Slug の名でアクアリウム業界に流通している。Zamora-Silva & 2018 年の改訂 によるカノコキセワタガイ科分子系統解析で従来の Chelidonura は多系統と判明し、複数の新属が立てられたが、タイプ種 Chelidonura hirundinina を含む狭義の Chelidonura に本種は留まる。シノニムChelidonura velutina Bergh, 1905 がある。
References

本書に掲載されています

中野理枝. (2019). 日本のウミウシ. 第二版. 文一総合出版. 表紙

中野理枝. (2019). 日本のウミウシ. 第二版. 文一総合出版.

文一総合出版

本書には Chelidonura varians の解説・写真が掲載されています。

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