ニシキツバメガイ Chelidonura hirundinina (Quoy & Gaimard, 1833)

ニシキツバメガイ Chelidonura hirundinina

Location
日本>沖縄>慶良間諸島(座間味島・安室島・嘉比島・安慶名敷島)>七番
Date
2015/06/26
Size
5mm
Depth
7.0m
Water temperature
10.0℃

特徴

体は黒色の地色に、白・黄・青緑の細い線や斑点が走る小型の頭楯類。体長は約20〜30mm。外套楯(背面を覆う外套膜)は前楯葉と後楯葉に分かれ、後楯葉の左右後端は細長く伸びて1対の尾状突起となる。この尾状突起がツバメの尾羽を思わせることが属名・種小名の由来になっている。殻は前楯葉に隠され、外からは見えない。頭部は前縁が直線的に切り立ち、両側が耳状に広がる。色斑のパターンには地理的変異が大きく、線の本数・色(青・黄・橙)や白色横帯の有無は産地によって異なる。

分布

インド・西太平洋からカリブ海まで、熱帯〜亜熱帯の浅海に広く分布する汎熱帯種。模式産地はモーリシャス周辺(Quoy & Gaimard, 1832)。日本では Chelidonura 属の最初の記録として、1928年7月23日に紀伊瀬戸(京都帝国大学瀬戸臨海研究所付近のタイドプール)で晴山省吾により採集された個体が瀧(1930)によって Chelidonura cf. hirundinina として報告された。和名「ニシキツバメガイ」も同論文で提唱された。

種小名の由来

ラテン語 hirundo(燕)の指小形で「小さなツバメ」の意。後端の1対の尾状突起がツバメの尾羽を思わせる体形に由来する。属名 Chelidonura もギリシャ語 chelidōn(燕)+ oura(尾)の合成で、同じ体形を反映している。

補足

砂底や砂礫底を匍匐し、扁形動物や小型の他の頭楯類などを捕食すると考えられている。色斑の地理変異が極めて大きく、過去にはインド洋・太平洋の地域型がそれぞれ別変種・別種として記載された経緯があり、Chelidonura adamsi Angas, 1867(オーストラリア産)、Chelidonura philinopsis Eliot, 1903(ザンジバル産)はいずれも本種のシノニム扱いとなっている。和名のニシキツバメガイは「錦」のように色彩豊かな体色と、ツバメの尾を思わせる後端突起を合わせた命名で、瀧(1930)が「色彩には特に著しい変異がある」「暗黒褐色の地色に朱と青緑色の條線があるのであるから勢ひ艶の感を起させずには措かない」と記したことに対応する。
References

本書に掲載されています

中野理枝. (2019). 日本のウミウシ. 第二版. 文一総合出版. 表紙

中野理枝. (2019). 日本のウミウシ. 第二版. 文一総合出版.

文一総合出版

本書には Chelidonura hirundinina の解説・写真が掲載されています。

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