タルミノウミウシ Tenellia puti A. Y. Kim & Gosliner, 2024
特徴
体地色は半透明の白色を基調とし、不透明な白色斑が背面の大部分を覆い、触角の前方の頭部領域まで広がる。白色斑は不規則で、外套縁までは達せず両側に半透明部分を残す。消化腺は灰褐色 (酸化したミルクチョコレートのような色)。背側突起は基部が半透明白色で消化腺が透見でき、中央部に幅広い不透明白〜淡灰色の帯、その先に淡青色のぼやけた帯、先端は淡黄色。触角は太く円錐形でやや長く、ケルプ葉を思わせる赤味のある暗褐色。口触手は触角と同色。体長 25 mm に達する。分布
模式産地はフィリピン・ネグロス・オリエンタル州ダウイン (San Miguel, Dauin, Negros Oriental)。フィリピン全域、インドネシアでの記録があり、クイーンズランド (オーストラリア)、タイ、タンザニアからも報告例がある。種小名の由来
原記載 (Kim, Donohoo & Gosliner, 2024) によれば、種小名 puti はフィリピン・タガログ語で「白」を意味し、本種の外套膜上に特徴的に現れる不透明白色斑に因む。フィリピン国旗の白い三角形は「平等」を象徴する。補足
従来 Cuthona yamasui Hamatani, 1993 のシノニムとして扱われた個体群、また Cuthona sp. 13 や Tenellia sp. E / sp. 15 として図鑑等で図示されてきた個体群は本種にあたる。Kim, 2024 年の改訂の系統解析で T. yamasui との COI 距離 18.1%、16S 距離 12.5% が示され、独立種として確立された。砂泥底に生息し、刺胞動物 Macrorhynchia balei を捕食する。References
- Cuthona kanga, 益田一. (1999). 海洋生物ガイドブック. 東海大学出版会.
- タルミノウミウシ, 益田一. (1999). 海洋生物ガイドブック. 第2刷. 東海大学出版会.
- フトガヤミノウミウシ, 殿塚孝昌. (2003). ウミウシガイドブック〈3〉. TBSブリタニカ.
- Cuthona sp. 13, Terrence Gosliner, Ángel Valdés and David Behrens. (2015). Nudibranch and Sea Slug Identification Indo-Pacific. New World Pubns Inc.
- タルミノウミウシ, 中野理枝. (2018). 日本のウミウシ. 文一総合出版.
- タルミノウミウシ, 小野篤司 & 加藤昌一. (2020). 新版 ウミウシ. 誠文堂新光社.
- Tenellia puti Kim & Gosliner sp. nov., Kim A.Y., Donohoo S.A. & Gosliner T.M. (2024). Stirring up the muck: the systematics of soft-sediment Fionidae (Nudibranchia: Aeolidina) from the tropical Indo-Pacific. PeerJ. 12: e18517. https://doi.org/10.7717/peerj.18517
本書に掲載されています
小野篤司 & 加藤昌一. (2020). 新版 ウミウシ. 誠文堂新光社.
誠文堂新光社
本書には Tenellia puti の解説・写真が掲載されています。
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