カサノリタマナウミウシ Mourgona osumi Hamatani, 1994
特徴
体長約 15mm までの小型嚢舌類で、体は半透明。地色は淡緑色を基調とし、灰緑色または緑色を帯びた黄白色を呈する個体もある。体表は褐色から黒褐色の不規則な小斑紋で覆われ、背面には 2 条の縦走帯を形成することがある。背面突起の下面、触角、口触手には褐色色素はほとんど分布しない。背面と背面突起には乳白色の微小顆粒が密に散在し、特に背面突起の先端付近に集中する個体もある。背面突起は葉状で、柄部と葉状部からなり、本体の周囲に 130 個以上が密生する。葉状部の周縁は凹凸を繰り返し、凸部には光沢を帯びた腺細胞由来の顆粒を内蔵する。葉状部内には淡草緑色の肝臓細管が一回分岐して侵入する。背面突起は収縮性があり脱落しやすい。
触角は細長い鞭状で、先端が二裂し、上枝が下枝より長い。腹側には軽い耳状の張り出しがある。口触手はよく発達し比較的長い。両眼は触角基部の間に近接して位置し、皮下から透見できる。腹足には横溝がなく、尾は短い。
分布
模式産地は奄美大島笠利。沖縄島南部からも記録がある。種小名の由来
種小名 osumi は、本種を1990年3月に奄美大島笠利のカサノリ群落から最初に発見した、当時琉球大学の学生 大隅大氏への献名である。補足
緑藻カサノリ Acetabularia ryukyuensis Okamura and Yamada, 1932 の群落に生息し、その細胞液を吸引して摂食する。潮間帯の高潮線付近に生育するカサノリ上で観察される。本種は嚢舌類のうち咽頭嚢を欠く点で属の特徴を共有し、形態的には西大西洋産の M. germaineae Marcus & Marcus, 1970 に近縁とされるが、解剖学的特徴により識別される。原記載では Caliphyllidae に置かれたが、現行の分類ではノトアリモウミウシ科 Polybranchiidae に属する。
References
- Mourgona osumi n. sp. (New Japanese name: Kasanori-tamanaumiushi), 濱谷巌. (1994). 奄美大島産カサノリ群落に生息するMourgona属嚢舌後鰓類の1新種. 貝類学雑誌. 53(1): 21-27. https://doi.org/10.18941/venusjjm.53.1_21
- カサノリタマナウミウシ, 大隅大. (2020). エッセイ 濱谷巖先生. うみうし通信. 108.
- オウジマタマナウミウシ(新称), 今川郁. (2026). 沖縄のウミウシ: DNA解析による最新の分類図鑑1089種. 誠文堂新光社.
本書に掲載されています
今川郁. (2026). 沖縄のウミウシ: DNA解析による最新の分類図鑑1089種. 誠文堂新光社.
誠文堂新光社
本書には Mourgona osumi の解説・写真が掲載されています。
Amazon で本書を見る PR (Amazon アソシエイト)