ハナサキコヤナギウミウシ Janolus incrustans Pola & Gosliner, 2019
特徴
体長は最大 18 mm に達する小型のアエオリス型の種で、生時は前方が最も幅広く、足の後端は背側の縁を大きく超えて細長く伸びる。触角は細長く、明瞭な横ヒダをもたず、ほぼ全長にわたって不規則な瘤状突起で覆われる。触角と触角のあいだには、不規則な乳頭状突起が連なる発達した「カランクル」と呼ばれる肉質突起がある。眼は触角直後で 2 つの黒点として透けて見える。心嚢部は触角直後の背の中央付近で大きく膨らむ。頭部両側からは短い指状の口触角が伸びる。背側突起は細長く、先端付近で大きく球状に膨らみ、表面は多数の白色乳頭で密に覆われる。各突起の頂端には先の尖った瘤状突起が 1 個ある。背側突起は左右合わせて 11〜13 列、1 列につき 2〜3 本ずつ配列する。消化腺は背側突起の基部から大半の突起内に入り込み、その管は非常に細く長く、各突起の先端まで達する。各管は突起の上半分で二叉する。最前列の突起にも消化腺の延長が入る。
体地色は半透明白色。全身が不透明白色の斑紋で覆われ、頭部・背の中央付近および触角・背側突起では特に顕著。カランクルは不透明白色。背側突起の多くの瘤も不透明白色を呈し、消化腺は背側突起内では橙色〜褐色を呈する。触角は背側突起とほぼ同色で、足の後端は不透明白色。
分布
模式産地はマーシャル諸島・クワジェリン環礁の Bigej-Meck Reef。原記載時はマーシャル諸島とインドネシアから水深 2〜10 m のサンゴ礫の下や Halimeda の藻場で記録されていた。種小名の由来
種小名 incrustans はラテン語で「(表面に) 厚く覆い被さる」を意味し、体を覆うかのように密に分布する不透明白色の色素に由来する。補足
触角が長い点で Janolus mirabilis に類似するが、J. mirabilis に見られる前後の背側突起群を分ける明瞭なギャップを欠く点で外見的に区別される。特定の餌動物との関連はまだ確認されていない。References
- ハナサキコヤナギウミウシ(新称), 小野篤司. (2004). 沖縄のウミウシ. ラトルズ.
- Janolus sp. 11, Terrence Gosliner, Ángel Valdés and David Behrens. (2015). Nudibranch and Sea Slug Identification Indo-Pacific. New World Pubns Inc.
- Janolus sp. 12, Terrence Gosliner, Ángel Valdés and David Behrens. (2018). Nudibranch and Sea Slug Identification Indo-Pacific 2nd Edition. New World Pubns Inc.
- Janolus incrustans sp. nov., Pola M., Hallas J.M. & Gosliner T.M. (2019). Welcome back Janolidae and Antiopella : Improving the understanding of Janolidae and Madrellidae (Cladobranchia, Heterobranchia) with description of four new species. Journal of Zoological Systematics and Evolutionary Research. 57(2): 345-368. https://doi.org/10.1111/jzs.12257
本書に掲載されています
Terrence Gosliner, Ángel Valdés and David Behrens. (2018). Nudibranch and Sea Slug Identification Indo-Pacific 2nd Edition. New World Pubns Inc.
New World Publications
本書には Janolus incrustans の解説・写真が掲載されています。
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