ミスガイ Hydatina physis (Linnaeus, 1758)
- Location
- 日本>沖縄>沖縄本島(恩納村・読谷村エリア)>真栄田岬
- Date
- 2015/07/03
- Size
- 30mm
- Depth
- 2.0m
- Water temperature
- 29.0℃
特徴
透明感のある薄い殻に、茶褐色から黒色の波状の横縞が並ぶ。殻長は最大で約 60 mm。身体は殻に収まり切らず、鮮やかなピンクからクリーム色のマントと足ひれが殻を包むように広がる。マントの縁は波打ち、しばしば青い縁取りが入る。
頭部にはハンコックス器官と呼ばれる化学感覚器が列をなし、獲物の化学的痕跡を探知する。口には長く伸びる管状の捕食器官を持ち、獲物の棲管に差し込んで顎で掴むことができる。
分布
インド洋・太平洋の熱帯域を中心に、大西洋にも記録のある広域分布種。紅海、南アフリカ、西アフリカ、アラビア海、モルディブ、フィリピン、ハワイ、オーストラリア、ニュージーランド、カナリア諸島、ブラジルなどから報告がある。日本近海でも浅海の砂地に普通。基本的に夜行性だが、潮間帯では日中にも観察される。種小名の由来
種小名 physis はギリシャ語の φύσις(「自然」「ふくらみ」)に由来し、泡のように膨らんだ殻の形状を指したものとされる。1758 年に Linnaeus が Systema Naturae 第 10 版で Bulla physis として記載した。補足
ミズヒキゴカイ科の多毛類を専食する高度に特殊化した捕食者で、砂中の棲管に長い捕食器官を差し込んで獲物を捉える。繁殖期には同一地点に多数が集まり、一度に全量の卵塊を形成してから基質に固定するという、近縁の異鰓類の中でもあまり見られない産卵様式を示す。和名「ミスガイ(御簾貝)」は殻の横縞模様を御簾 (宮中で用いられる簾) に喩えた古典的な名称。
References
- Bulla physis, Linnaeus C. (1758). Systema Naturae per regna tria naturae, secundum classes, ordines, genera, species, cum characteribus, differentiis, synonymis, locis. Editio decima, reformata. Tomus I. Laurentius Salvius, Holmiae. 824 pp.
- ミスガイ, 益田一. (1999). 海洋生物ガイドブック. 第2刷. 東海大学出版会.
- ミスガイ, 鈴木敬宇. (2000). ウミウシガイドブック〈2〉. TBSブリタニカ.
- ミスガイ, 殿塚孝昌. (2003). ウミウシガイドブック〈3〉. TBSブリタニカ.
- ミスガイ, 中野理枝. (2004). 本州のウミウシ. ラトルズ.
- ミスガイ, 小野篤司 & 加藤昌一. (2009). ウミウシ. 誠文堂新光社.
- Hydatina physis, Terrence Gosliner, Ángel Valdés and David Behrens. (2015). Nudibranch and Sea Slug Identification Indo-Pacific. New World Pubns Inc.
本書に掲載されています
Terrence Gosliner, Ángel Valdés and David Behrens. (2018). Nudibranch and Sea Slug Identification Indo-Pacific 2nd Edition. New World Pubns Inc.
New World Publications
本書には Hydatina physis の解説・写真が掲載されています。
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