ツノウミフクロウ Pleurobranchaea brockii Bergh, 1897
特徴
体長は最大 100 mm を超える大型のフシエラガイ類。背面の外套膜・腹足・口膜は微細なしわで網目状の彫刻を持ち、黄灰色の地色に暗褐色の斑紋が広がる。腹足の縁、口膜の前縁、触角の先端はクリーム色。腹足の裏面はビロード状の光沢を帯びた暗褐紫色。口膜は大きな台形で、前縁には 17〜22 個の小さな突起が並ぶ。触角は外套膜と口膜の間から左右大きく離れて生じ、外側に縦方向のスリットが入る。鰓は体の右側に短い懸膜で吊り下がり、軸の両側に 37〜39 対の鰓葉を持つ。
本種を同属の他種から区別する最大の外見的特徴は、腹足後端の背面に肉質の円錐形の角状突起 (尾棘) を持つことで、和名「ツノウミフクロウ」の由来でもある。
分布
模式産地はインドネシア・アンボン島。インド・西太平洋に広く分布し、南アフリカ東岸、東シナ海、南シナ海、海南島、西沙諸島、香港、バンダ海、日本の太平洋岸 (土佐湾・駿河湾) から報告されている。種小名の由来
種小名 brockii は人名 Brock 氏のラテン語属格形で、Brock 氏に献名されたもの。補足
泥砂底の浅海から数十メートルの水深に生息し、本属に共通して肉食性・腐肉食性。土佐湾産の標本では消化管から頭楯類 (Philine sp.)、小型のテンジクダコ目イカ、魚の鱗が確認されており、貝類や軟体動物を主に捕食すると考えられる。同属で日本に分布するウミフクロウ Pleurobranchaea japonica は尾棘を持たない点で外見的に区別される。References