ウミフクロウ Pleurobranchaea japonica Thiele, 1925

ウミフクロウ Pleurobranchaea japonica

Location
日本>神奈川>葉山>権太郎岩
Date
2014/06/10
Size
15mm
Depth
10.0m
Water temperature
21.0℃

特徴

体長は最大で 100mm を超え、観察された個体は 12〜70mm が中心。殻は退化して持たない。
外套膜は卵形で、腹足よりやや幅が狭い。外套膜前縁は口幕と連続し、後縁は腹足背面と癒合する。両側縁は遊離する。
背面の地色は黄灰色で、外套膜・腹足・口幕の表面に微細な皺が走り、暗褐色の網目模様を作る。腹足の外縁、口幕前縁、触角の先端はクリーム色。腹足底面は黒紫色がかった暗色でビロード状の質感をもつ。
口幕は大きな台形で、這うときは腹足の前外側角を超えて広がる。両側縁は内側に巻き、前縁の背側・腹側には小さな突起が並ぶ。
触角は基部が太く横皺をもち、外側面に縦走するスリットがある。左右の触角は外套膜と口幕の間に挿入され、互いに大きく離れる。
鰓は体の右側に位置し、外套膜下に短い懸垂膜で付着する。鰓葉は左右にそれぞれ 24〜32 枚並ぶ。
甲殻類、他のウミウシ、死んだ魚など多様な動物を捕食する雑食性。

分布

模式産地は神戸 (Thiele, 1925)。日本では本州・四国・九州の沿岸全域に分布し、瀬戸内海から伊豆半島沖、東京湾、宮城県金華山沖まで記録がある。中国沿岸 (黄海・青島) からも知られる。穏やかな湾内の砂泥底に多く、潮間帯から水深約 400m までの浅海から陸棚域に生息する。

種小名の由来

japonica はラテン語で「日本の」の意。模式産地が神戸であることに由来する。

補足

和名「ウミフクロウ」は、丸みを帯びた袋状の体型からの命名。
日本産個体は長らく Pleurobranchaea novaezealandiae Cheeseman, 1878 の名で記録されてきたが、坪川・Willan・奥谷 1992 は外部生殖器の位置・形態、腹足腹面の色、幼生殻の形態と浮遊期間の差異から本種を独立種として再記載した。なお P. novaezealandiae は現在 Pleurobranchaea maculata のシノニムとされている。
外見と内部生殖器の多くは Pleurobranchaea maculata に似るが、本種では雌性生殖孔が雄性開口・心房から独立して体壁に開き短い管状に突出する点、雄性器先端 (ペニス) が長い心房の先にある鈍い球状である点、腹足底が黒紫色である点で区別される。日本産のもう 1 種 Pleurobranchaea brockii は腹足後端に肉質の尾状突起をもつことで本種と容易に識別できる。
幼生は浮遊性プランクトン栄養で、孵化から着底までに少なくとも 15 日を要する (Tsubokawa & Okutani, 1991)。
References

本書に掲載されています

中野理枝. (2019). 日本のウミウシ. 第二版. 文一総合出版. 表紙

中野理枝. (2019). 日本のウミウシ. 第二版. 文一総合出版.

文一総合出版

本書には Pleurobranchaea japonica の解説・写真が掲載されています。

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