タテヒダイボウミウシ Phyllidia varicosa Lamarck, 1801

タテヒダイボウミウシ Phyllidia varicosa

Location
インドネシア>バリ島>トランバン>シデム
Date
2020/02/19
Size
200mm
Depth
??m
Water temperature
28.0℃

特徴

イボウミウシ科の中では大型になる種で、体長は115mmに達する。背面の地色は青灰色で、滑らかな黄色のイボ状突起が背面中央部に縦に3〜6列並び、各列の突起は青灰色の畝で連なる。畝と畝の間には黒い縦線が走り、体側部にも放射状の黒条が入る。触角は鮮やかな黄色。腹側を見ると、足の正中線に沿って太い黒色の縦帯があり、これが本種を近縁種から分ける鍵となる。鼻冠の鰓襞は片側27〜30枚。背面の色彩はソライロイボウミウシに似るが、本種は正中線上に青灰色の畝が縦走することで区別できる。

分布

インド西太平洋に広く分布し、紅海から東アフリカ沿岸、マダガスカル、レユニオン、モルディブ、オーストラリア、パプアニューギニア、フィリピン、マレーシア、パラオ、ミクロネシア、日本、ハワイ、ソシエテ諸島まで記録がある。サンゴ礁や岩礁の浅所から水深50m前後までの礁斜面で見られる。

種小名の由来

ラテン語の varicosus(「こぶの多い」「静脈瘤状の」)に由来し、背面に浮き出る畝とイボ状突起の連なりが膨らんだ静脈を思わせることから名付けられた。

補足

属名の元となる代表種で、Cuvier が 1797 年に設立した Phyllidia 属、ならびに Rafinesque が 1814 年に設立したイボウミウシ科の基準種(タイプ種)に当たる。Lamarck 1801 の原記載に基づく学名で、原記載に伴う模式産地は明示されておらず、長らくホロタイプ標本の所在も不明だった。Fahrner & Schrödl 2000 による分類学的再検討で、パリ国立自然史博物館に保管されていたホロタイプが再発見され、保存状態のなかにも腹側中央線の黒色条の痕跡が確認されたことから、足底に黒条をもつ Phyllidia arabica Ehrenberg, 1831 がシノニムであると確定した。

食性海綿食で、Hymeniacidon 属や Axinyssa aculeata など特定の海綿を選択的に捕食する。刺激を受けると、体側の腺から白濁した粘液を分泌する。Johannes 1963 は飼育水槽内で本種が分泌した粘液が同居のロブスターを致死させたことを報告し、これを契機に Burreson, Scheuer ら 1975 が活性成分として 9-isocyanopupukeanane を単離した。化合物名はホノルル北岸の地名 Pupukea にちなむ。続く Hagadone, Burreson & Scheuer 1979 によって 2 番異性体が、Yasman ら 2003 によって 9-thiocyanatopupukeanane 系の関連化合物が報告されている。これらのイソシアノセスキテルペン類は餌の海綿に由来し、本種が食物から獲得して防御物質として再利用していると考えられている。鮮やかな黄色と黒の警告色は、こうした強い化学防御を捕食者に知らせる役割を果たしており、ナマコの一種 Pearsonothuria graeffei の幼体は本種に似た色彩で擬態することが知られる。和名はタテヒダイボウミウシ。
References
読み込み中...

撮影地を読み込み中...


タグ:
観察地: ×

該当 0


学術データベース

世界のウミウシの観察データは国際的な海洋生物多様性データベースで公開されています。

詳しくはこちら