ツヅレウミウシ Discodorididae sp. 1
特徴
ツヅレウミウシ科の中型ドーリス類で、体長 40〜70 mm に達する。体は楕円形で背面はやや盛り上がり、表面は微小な骨片を含む円錐形の突起で密に覆われる。地色は灰褐色から茶褐色で、背面には濃淡さまざまな暗褐色の斑紋が散在する。模様の変異は大きいが、正中線の左右に楕円形の暗褐色斑が規則的に並ぶ点は本種に共通する。触角は地色と同じ色合いで暗褐色の細点が入り、約 30 枚以上の触角褶葉をもつ。二次鰓は基部から三分岐する 6 枚の鰓葉からなり、地色と同色で暗褐色の細点が散る。腹面は背面と同色で、腹足と外套膜の裏面には多数の暗褐色の小斑が分布する。外套膜の裏側(下面)には足を取り囲むように暗色のリングが走り、本種を識別する重要な手がかりとなる。刺激を受けると外套膜を容易に自切する。分布
模式産地は日本・相模湾の長者ヶ崎で、原記載に用いられた個体は 1970 年に採集された。日本では九州から本州中部にかけての温帯域から記録される。補足
未記載種で正式な学名はまだ与えられていない。Dayrat 2006 の Discodorididae 大改訂で、本種は Discodorididae sp. C (= "Metadiscodoris" sp. C) として詳細に解剖された。陰茎には先端付近に円錐形の鉤が 4〜5 列状に並ぶ独特の構造があり、他のドーリス類と明瞭に区別される。古くは Discodoris concinna (Alder & Hancock, 1864) と同定されていたが、同種はインド洋にのみ知られる別種で、本種とは異なる。 また Tayuva lilacina (Gould, 1852) とは背面の突起がはるかに小さい点で区別される。References
- Discodoris concinna, Baba, K. 1933b. Supplementary note on the Nudibranchia collected in the vicinity of the Amakusa Marine Biological Laboratory. Annotationes Zoologicae Japonenses 14(2):273-283.
- つづれうみうし, 内田清之助ほか. (1952). 改訂増補 日本動物図鑑. 北隆館.
- ツヅレウミウシ Discodoris concinna, 鈴木敬宇. (2000). ウミウシガイドブック〈2〉. TBSブリタニカ.
- 高岡生物研究会. (2002). 日本海のウミウシ. 第2版.
- Discodorididae sp. C, DAYRAT B. (2006). A taxonomic revision of Paradoris sea slugs (Mollusca, Gastropoda, Nudibranchia, Doridina). Zoological Journal of the Linnean Society. 147(2): 125-238. https://doi.org/10.1111/j.1096-3642.2006.00219.x
- ツヅレウミウシ Discodorididae gen. sp., 柏尾翔, 川瀬基弘, 鵜飼普, 大矢美紀, 西浩孝 & 浅田要. (2021). 愛知県南知多町の潮間帯に生息するウミウシ類 I(裸鰓目). なごやの生物多様性. 8: 1-22.
季節性
撮影地
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