シミツキウミウシ Tayuva lilacina (A. A. Gould, 1852)

シミツキウミウシ Tayuva lilacina

Location
インドネシア>バリ島>トランバン
Date
2019/02/15
Size
25mm
Depth
15.0m
Water temperature
??℃

特徴

体長 3 1/3 インチ (約 8.5 cm)、幅 1 1/4 インチ (約 3.2 cm) のドーリス類。体はかなり大きく、やや角柱状で著しく細長く、前方は鈍く、後方はやや細る。地色はライラック (淡紫) で、中央に沿って薔薇色の色調を帯び、やや大きな濃色の斑紋がまだら状に入る。触角部の対側に角張った側方拡張があり、その後方にひだ状で淡黄褐色の縁帯が広がる。触角は小さく淡黄褐色、棍棒状で後方に反り返り、薄板状を呈する。鰓は背面のかなり後方に位置し、非常に大きく体幅より広い。鰓葉は 6 葉で各葉は三葉状を呈し、各小葉は深く、おそらく二重に切れ込みを示し、縁辺は黄色。腹面は黄白色で、ライラック色の細かい斑点と陰影がある。足は体長と同等の長さで、体幅の 3 分の 2 ほどの幅をもち、先端は丸まり、前縁の角は拡張しない。頭部は小さく丸まり、外套膜の下深くに位置する。原記載では「触角部の角張った側方拡張が三葉虫を思わせ、その後方にひだ状の縁帯があり、特に Acanthus の葉のような独特な鰓葉の形が際立つ」と注記された。

分布

模式産地はハワイ諸島・オアフ島・ホノルル。Charles Wilkes 司令官の指揮する米国探検遠征隊 (1838〜1842) によって採集された個体に基づく。後年インド洋〜西太平洋〜中部太平洋から広く記録される。日本では転石下で観察される。

種小名の由来

種小名 lilacina はラテン語化した形容詞で「ライラック色の、淡紫の」の意。原記載のラテン語診断 "lilacina maculis saturatioribus notata" にあるとおり、本種の地色がライラック (淡紫) を呈し、より濃色の斑紋が入ることに由来する。原記載書での見出しは "Doris Liacina" (印刷の OCR 上は "Liactna" と読まれる場合あり) であり、現在は "lilacina" の綴りで定着している。

補足

原記載において Gould は Doris 属に置いた。後に Discodoris 属、さらに Marcus & Marcus 1970 による Tayuva 属に移された (author 表記の括弧書きはこの属移動を示す)。和名「シミツキウミウシ」は、かつて「ツヅレウミウシ」と同種とされていたが、再び別種として区別された経緯をもつ。Sebadoris fragilis (オオツヅレウミウシ) の幼体と外見が酷似し、識別には腹面の斑紋を確認する必要がある。「ツヅレウミウシ」の和名はもともと Sebadoris fragilis に与えられた可能性もある。
References

本書に掲載されています

小野篤司 & 加藤昌一. (2020). 新版 ウミウシ. 誠文堂新光社. 表紙

小野篤司 & 加藤昌一. (2020). 新版 ウミウシ. 誠文堂新光社.

誠文堂新光社

本書には Tayuva lilacina の解説・写真が掲載されています。

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