ツララガイ Acteocina decorata (Pilsbry, 1904)
ツララガイとは
三陸・男鹿半島から南シナ海の細砂底に生息するオオコメツブガイ科の小型巻貝。殻長 6.8 mm 前後の円筒形の白色殻に、淡黄色の殻皮と赤褐色の螺状細条が密に並ぶ。特徴
殻長 6.8 mm、殻径 3.9 mm 前後の小型のオオコメツブガイ科の貝。殻はまっすぐな円筒形で、地色は白色だが、淡黄色の殻皮 (薄い角質層) に覆われており、その殻皮表面に赤褐色の螺状細条が密に並ぶ。殻表の彫刻は浅い成長線のみで、本体に螺刻線はない。螺塔は短く、殻頂以降の螺層は約 3.5 で、各螺層は深く水路状に刻まれた縫合で分けられる。縫合の下降はゆるやかで、最終螺層に至って初めてやや急に下る。殻口は本属で一般的な形を呈し、外唇は中央部でやや前方に張り出し上部で後退する。外唇の上端は縫合に向かって深く切れ込む。殻軸は厚い釉膜で覆われ、平坦でやや凹み、上部に弱い縦褶をもつ。分布
模式産地は肥前国平戸 (現・長崎県平戸島周辺)。原記載時には、北西太平洋から本種に類似する種は報告されていないとされた。模式標本は平瀬與一郎のコレクション (No. 1,235) に基づき、フィラデルフィア科学アカデミー所蔵となっている (Types No. 85,985)。種小名の由来
種小名 decorata はラテン語で「装飾された」「飾られた」の意で、殻皮表面に赤褐色の螺状細条が並んで殻を装飾するように見えることにちなむ。補足
赤褐色の螺状条は殻本体の色素ではなく、外側を覆う殻皮にのみ刻まれているため、殻皮が摩耗・脱落した個体では特徴的な色模様が失われる。良好な状態の個体は、短い螺塔と赤褐色の螺条という組み合わせによって他のコメツブガイ類と容易に区別できる。References
- Tornatina decorata n. sp. (Pl. V, fig. 51), Pilsbry H.A. (1904). New Japanese marine Mollusca: Gastropoda. Proceedings of the Academy of Natural Sciences of Philadelphia, 56: 3-37, pls. I-VI.
- ツララガイ Acteocina (Tornatina) decorata (PILSBRY), 波部忠重. (1961). 続原色日本貝類図鑑. 保育社, 大阪. xii + 183 + 42 pp., 66 pls. [Habe T. (1961). Coloured illustrations of the shells of Japan (II). Hoikusha, Osaka.]
- ツララガイ Acteocina (Tornatina) decorata (Pilsbry, 1904), 奥谷喬司. (2000). 日本近海産貝類図鑑. 東海大学出版会.