トゲウミウシ Acanthodoris atrogriseata O'Donoghue, 1927

トゲウミウシ Acanthodoris atrogriseata

Location
日本>新潟>親不知
Date
2022/04/22
Size
14mm
Depth
??m
Water temperature
12.0℃

特徴

体地色は変異に富み、黄白色から灰色、暗灰色、煙色、黒色、金褐色まで幅広い。背面全体には先端が黄色を帯びた円錐形の突起が密に並び、属名 Acanthodoris が示すとおり「棘のあるドーリス」と呼ぶにふさわしい外観をもつ。触角は長く、後方に倒れるように曲がる。二次鰓は体の後方寄りに位置し、退縮しない。体長は通常 30 mm 前後、最大で 50 mm 程度に達する。潮間帯下部から浅い岩礁帯のコケムシ群体上で見られる。

分布

北東太平洋に分布し、アラスカのキスカ島からカリフォルニアのモロ湾まで記録される。模式産地はカナダ・バンクーバー島のフォルス・ナローズ。WoRMS ではワシントン州ピュージェット湾の標本にネオタイプが指定されている。日本周辺の北方域 (北海道沿岸、オホーツク海、日本海) で長らく Acanthodoris pilosa として報告されてきた個体群の一部は、本種に該当する可能性が指摘されている。

種小名の由来

ラテン語の atro-(黒い・暗い)と griseata(灰色の)を合わせた造語で、「暗灰色の」を意味する。原記載で観察された煙がかった灰色から黒色の体色に由来する。

補足

コケムシを食べる肉食性のウミウシで、岩礁やフロート上のコケムシ群体に集まる。長らく汎北極種とされる Acanthodoris pilosa (Abildgaard, 1789) のシノニムとして扱われてきたが、Hallas, Simison & Gosliner 2016 の分子系統解析により北東太平洋集団は別系統であることが示され、O'Donoghue が 1927 年に記載した A. atrogriseata有効名として復活した。和名「トゲウミウシ」は馬場菊太郎が 1957 年に北日本産の A. pilosa に対して提唱したもので、現在の分類学的整理を受けて本種に引き継がれている。
References

本書に掲載されています

中野理枝. (2019). 日本のウミウシ. 第二版. 文一総合出版. 表紙

中野理枝. (2019). 日本のウミウシ. 第二版. 文一総合出版.

文一総合出版

本書には Acanthodoris atrogriseata の解説・写真が掲載されています。

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