ハナイロキセワタ Spinophallus falciphallus (Gosliner, 2011)

ハナイロキセワタ Spinophallus falciphallus

Location
インドネシア>バリ島>トランバン>アグン
Date
2018/01/12
Size
30mm
Depth
16.0m
Water temperature
28.0℃

特徴

体長9〜25mm、体幅5〜12mmの頭楯目カノコキセワタガイ科のウミウシ。生体の地色は淡いピンク〜ワインレッド色で、頭の前部、側足 (パラポディウム) 縁、後部楯の後方突起の基部にやや暗い赤色〜栗色の色素がのる。背側全体に不規則な黄色斑と少数の白い斑がちりばめられる。マーシャル諸島産の個体ではより淡色で、白色の斑と栗色の斑がまばらに散らばる。フィリピン産の個体では腹側は淡ピンク〜ワインレッドで、腹側中央に1本、両側に2本の縦線が走る (側線は途切れて栗色斑として現れることもある)。足の腹側には大きな黄色斑がいくつか散らばる。

頭楯は前縁が丸い四角形で、後縁は短く丸い乳頭状の突起で終わる。後部楯は前方が丸く、中央に細長い円錐形の後方突起をもち、これが楯の基部から高く立ち上がる。後部楯の側方の2つの後葉は短く単純に丸い。陰茎は装甲化し、papilla 上には散在する大型棘と、papilla 右側基部から伸びる大きな鎌状のキチン棘がある。これは Philinopsis 系のなかで陰茎が装甲化された唯一の種である。

分布

インド太平洋熱帯域に広く分布。マーシャル諸島、フィリピン (バタンガス州ルソン島マイニット・バブルズ)、インドネシア、マダガスカル、紅海から記録される。模式産地はフィリピン・マイニット・バブルズ (水深12m)。サンゴ瓦礫域の水深5〜15mに棲息し、ハリメダ (緑藻) の根元に卵塊を産み付ける。紅海では platycteneを含む扁形動物に捕食している例が観察されている。

種小名の由来

ラテン語 falcis 「鎌」とギリシャ語 phallos 「陰茎」の合成。陰茎にある大きな鎌形のキチン棘にちなむ。

和名の由来

体色 (赤紫色に黄色の細点) と側足の黒線で縁取られる様が、咲き乱れる小花を想起させることにちなむ。

補足

原記載時は Philinopsis falciphallus として記載されたが、Zamora-2017 年の Aglajidae 改訂の分子系統解析により Spinophallus 属が新設され、本種は属タイプ種となった。
References

本書に掲載されています

Terrence Gosliner, Ángel Valdés and David Behrens. (2018). Nudibranch and Sea Slug Identification Indo-Pacific 2nd Edition. New World Pubns Inc. 表紙

Terrence Gosliner, Ángel Valdés and David Behrens. (2018). Nudibranch and Sea Slug Identification Indo-Pacific 2nd Edition. New World Pubns Inc.

New World Publications

本書には Spinophallus falciphallus の解説・写真が掲載されています。

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