イトヒキウミウシ Pseudobornella orientalis Baba, 1932

イトヒキウミウシ Pseudobornella orientalis

Location
日本>静岡>大瀬崎>湾内
Date
2017/03/29
Size
12mm
Depth
9.0m
Water temperature
14.0℃

特徴

体は比較的細長く、足は広く後方では細く尾状に細まる。生時の体長は 10 mm に満たない小型種。体地色は半透明の白色で、無数の褐色の斑点とまだら模様、いくつかの黄色の斜め筋が散る。
頭部前端には垂直に開く口があり、その両側に先端が尖った 3 本の口触手が並び、外側のものほど長い。最も外側の口触手は体長の半分ほど、中央のものはその半分、内側のものは 4 分の 1 ほど。触角鞘は非常に長く、外側の口触手と同じくらいに伸びる。各触角鞘の上縁には 2 本の細長い側方突起と、後方の極めて細長い突起が 1 本立ち、生時にはこの後方突起が体長の 5 倍ほどに伸びることがある。触角は 10 枚ほどの小葉をもつ羽状。触角の後ろには 4 対の細長い背側突起が並び、後方ほど小さくなる。背側突起は分岐せず先端が丸く尖り、その内側に分岐する鰓と分岐しない鰓が多数付着する。

分布

模式産地は日本。原記載時は日本から記録されていた。後年は中部太平洋岸〜東シナ海 (中国・福建省を含む) からも記録されている。

種小名の由来

種小名 orientalis はラテン語で「東方の」の意。極東から記載されたことに由来する。

補足

本属の単型種で、最大の特徴は触角鞘上縁に立つ後方の細長い糸状突起である。生時には体長の 5 倍ほどにも伸び、和名「イトヒキ」(糸引き) もこの形態に由来する。Baba 1932 はヒドロ虫 Tubularia mesembryanthemum をホストとして報告している。Pola, Rudman & Gosliner 2009 が本属を再検討し、原記載と一致する個体を中国・福建省ロー源湾などで観察した。Sea Slug Forum などで報告された日本産・フィリピン産の Pseudobornella 個体は触角鞘の側方突起がより長いなどの差異を示し、解剖学的検討を経るまで P. orientalis と同種か別種かの判定は保留されている。
References

本書に掲載されています

小野篤司 & 加藤昌一. (2020). 新版 ウミウシ. 誠文堂新光社. 表紙

小野篤司 & 加藤昌一. (2020). 新版 ウミウシ. 誠文堂新光社.

誠文堂新光社

本書には Pseudobornella orientalis の解説・写真が掲載されています。

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