オキナワシロマツカサウミウシ Doto cervicenigra Ortea & Bouchet, 1989
特徴
体長5〜7mm程度の小型種。体地色は半透明の白色。頭部に黒色の不規則な斑紋が密に入り、これが本種の最も顕著な識別特徴となる。触角は長く、黒色で先端のみ白い。触角鞘は短く薄い。背側突起(セラタ)は5〜6対で、2〜3段のほぼ球形の結節が冠状に並ぶ。各突起の先端結節には暗紫黒色の皮下斑があり、不透明な白色色素に囲まれる。背面正中線上に黒色の縦線が走り、体側にも黒色斑が散在する。分布
模式産地はフランス領コルシカ島カルヴィ近郊のラ・レヴェラータ。確認された分布域は西地中海で、フランス(コルシカ島、マルセイユ周辺、トー潟湖)、イタリア(シチリア島、サルデーニャ島)、スペイン(カタルーニャ、マジョルカ島)から記録がある。近年、BOLD Systems(BIN: AFY8172)のDNAバーコードデータにより日本(沖縄)の個体が地中海産と同種であることが確認されており、想定されていたよりも広い分布域を持つ可能性がある。種小名の由来
ラテン語の cervix(首、頭部)と nigra(黒い)の合成語で、頭部の黒色斑紋に由来する。フランスでの通称は "Doto à tête sombre"(暗い頭のドト)。補足
マツカサウミウシ科(Dotidae)に属する。ヒドロ虫類を専門的に食べ、Obelia属、Sertularella mediterranea、Campanularia属のヒドロ虫が餌として記録されている。多くのウミウシと異なりポリプを丸ごと食べるのではなく、微細な歯舌でヒドロ虫の囲鞘(ペリサルク)に穴を開け、内部の共肉(コエノサルク)の体液を吸う特異な摂食法をとる。幼生はプランクトン栄養型(planktotrophic)で、長距離分散の能力を持つ。Vazquez-Alcaide et al. 2025による系統解析では、カナリア諸島産のD. fluctifragaと形態的にほぼ区別がつかないが、分子系統解析により別種と確認されている。両種は分布域(地中海 vs 大西洋)と餌のヒドロ虫(Obelia/Campanularia vs Pennaria disticha)で区別される。References
- オキナワシロマツカサウミウシ(仮称), 小野篤司. (1999). ウミウシガイドブック. TBSブリタニカ.
季節性
撮影地
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