ヒブサミノウミウシ Caloria indica (Bergh, 1896)
- Location
- 日本>沖縄>沖縄本島(北谷・南部エリア)>砂辺浄水場前
- Date
- 2015/07/30
- Size
- 10mm
- Depth
- 7.0m
- Water temperature
- 29.0℃
特徴
体長 30 mm 程度に達する小型のミノウミウシ類。生時の体地色は半透明の白色で、通常は頭部が朱色を帯びるが、背面全体が朱色になる個体も見られる。口触手の基部から触角の間を通り背面に至る白色の縦線をもつ個体が多いが、途中で途切れたり欠如する個体も観察される。背側突起は基部から赤色、青色、黄白色、白色と色帯状に並ぶ。触角と口触手は平滑で、中ほどに赤色の色帯があり、その先は黄白色を呈する。Bergh の原記載 (アルコール固定 1 個体) は体長 16 mm、体高 2.5 mm、前部の体幅 3 mm、背側突起の長さ最大 4 mm、足底の幅 2.5 mm、前足の側方延長部の長さ 1.4 mm、尾の長さ 2.5 mm の個体に基づき、地色は黄色味を帯び、背側突起はオリーブ色で先端が黄色を呈すると記述された。体は細長くやや扁平で、背縁が突起列を伴って張り出し、その下方の体側には浅い縦溝が走る。頭は比較的大きく、口は前端で T 字型を呈する。触角は環状 (非葉状) で口触手は平滑、いずれも収縮時に短くなる。背面には背縁に沿って 5 対の縦長な突起群が並び、後方の 2 群は他群との境が不明瞭になる。各群は 3-7 列の斜行・湾曲列で構成され、第 1 群が最も大きく 7 列、第 2 群 5 列、第 3 群 4 列、第 4 群 3 列、第 5 群 5-6 列、最後の 2 群は 1-2 突起のみとなる。生殖孔は左側、第 1 群最後列の下方に開く。肛門乳頭は外側、第 2 群第 1 列と第 2 列の間にある。分布
インド-西太平洋〜中部太平洋。模式産地はインドネシア・モルッカ諸島のアンボン島近海で、Maurice Bedot と Camille Pictet によるマレー諸島航海 1890 で得られた 1 個体に基づく。後に南アフリカ、タンザニア、アルダブラ環礁、オマーン、クリスマス島、オーストラリア、ニューカレドニア、フィジー、ソロモン諸島、パプアニューギニア、マレーシア、インドネシア、フィリピン、香港、日本、ハワイなどからも記録されている。種小名の由来
ラテン語 indicus (女性形 indica)「インド (洋) の」を意味する形容詞で、模式産地が当時の表記で「Mer des Indes」(インド洋) に位置することに由来する。Bergh の原記載に etymology の明示はない。補足
原記載において Bergh は Learchis 属を新たに立て、本種をその模式種として同時に記載した。Bergh は Learchis をミノウミウシ科に置き、陰茎の形は Trinchese の Caloria 属に似るが、顎の形が異なり (本属では Caloria や Facalana 類のような特殊な顎構造をもたない) 、むしろ典型的な Facelina 類の顎に近いと述べた。属名 Learchis は古代ギリシャの女流詩人の名に由来する旨が原記載の脚注に明記されている。後に分類学的整理により本種は Trinchese の Caloria 属へ移された (author 表記の括弧書きはこの属移動を示す)。和名「ヒブサミノウミウシ」は朱色を帯びた頭部および色帯状の背側突起の彩りに由来する。References
- Learchis indica Bgh. nov. sp., Bergh R. (1896). Eolidiens d'Amboine (Voyage de MM. M. Bedot et C. Pictet dans l'Archipel Malais). Revue Suisse de Zoologie. 4: 385-394, Planche XVI.
- Hibusa-mino-umiushi, Baba K. (1969). RECORDS OF LEARCHIS INDICA BERGH, 1896 FROM JAPAN AND HAWAII (NUDIBRANCHIA : EOLIDOIDEA). Publications of the Seto Marine Biological Laboratory. 16(6): 399-403. https://doi.org/10.5134/175561
- 高岡生物研究会. (2002). 日本海のウミウシ. 第2版.