クロスジシボリ Bullina vitrea Pease, 1860
特徴
殻長 10 mm 程度の小型の頭楯類。貝殻は卵形で、薄く脆く、ガラス様の半透明白色を呈する。体層には灰色〜黒色の細い横走色帯が 2 〜 3 本ずつ 1 〜 2 組走り、これらの帯と帯の間にも横走の細点列が並ぶ。螺塔は鈍く、頂端は尖る。螺層数は 4 で、殻口は卵形を呈し、底部でやや拡張する。臍孔はなく、軸唇基部にわずかなねじれがある。Pease の原記載は Cuming コレクション内のサンドウィッチ諸島産個体に基づき、横走色帯の本数や配置に個体差があることが指摘されている。分布
インド-太平洋。模式産地はサンドウィッチ諸島 (現在のハワイ諸島) で、Hugh Cuming のコレクション内の個体に基づいて Pease が記載した。後にハワイ諸島、マリアナ諸島、グアム、フィジー、日本列島南部、台湾、フィリピンなど広く記録されている。種小名の由来
ラテン語の形容詞 vitreus (女性形 vitrea)「ガラスの」「ガラス様の」の意で、本種の殻が薄く半透明でガラスのように見えることに由来する命名。Pease の原記載に etymology の明示はないが、白色透明な殻の質感がそのまま種小名となったと考えられる。補足
原記載において Pease は Bullina 属に置き、Bullidae のひとつと考えていた。Pease 自身、論文冒頭で「これは Bullinae のどの種にも合致しないが、Hydatinae の他では行き場が無いのでここに置く」と注記している。現在の分類では Aplustridae 科 (= Hydatinidae) に位置付けられる。和名「クロスジシボリ」は殻に走る黒色の細横帯と、染料を絞ったような繊細な点列模様に由来する。References
本書に掲載されています
小野篤司 & 加藤昌一. (2020). 新版 ウミウシ. 誠文堂新光社.
誠文堂新光社
本書には Bullina vitrea の解説・写真が掲載されています。
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