ユキノハラウミウシ Adalaria proxima (Alder & Hancock, 1854)

ユキノハラウミウシ Adalaria proxima

Location
日本>北海道>羅臼>ロウソク岩
Date
2015/05/29
Size
10mm
Depth
10.0m
Water temperature
4.0℃

特徴

体長は最大 25 mm 前後の小型〜中型のドーリス類。体は楕円形でやや扁平、外套膜は厚く硬い。背面全体に高さの揃った円錐形〜先端がふくらんだクラブ状の突起 (チューバークル) が密に配列する。突起の先端には白色の小斑があることが多い。

体地色は半透明白色〜淡黄白色で、外套縁付近は地色が淡くなる傾向がある。橙色〜黄色を帯びる個体も知られる。触角は半透明白色〜地色と同じで、葉状の薄板が並ぶ。鰓は半透明白色の単羽状鰓を 10〜13 葉、後背中央に円環状に配置する。触角・鰓ともに退縮させると外套膜の鞘の中に完全に収まる。

分布

北大西洋を中心に北極周辺〜温帯北部にかけて広く分布する寒〜冷帯種。模式産地はイギリス沿岸 (Alder & Hancock, 1854)。北東大西洋 (ノルウェー・北海・アイルランド海・北アイルランド)、北西大西洋 (米国メーン州、カナダ大西洋岸)、北太平洋にも記録があり、日本沿岸 (北海道・東北) や韓国からの観察報告もある。岩礁帯の潮間帯下部〜浅海に普通。

種小名の由来

種小名 proxima はラテン語 proximus (近い、隣り合う、近縁の) の女性形で、「近縁の (種にすぐ続く)」の意。原記載で隣接して扱われた他のドーリス類との形態的近縁性に由来する命名と考えられる。

補足

原記載は Alder & Hancock 1854 によりイギリス産の標本に基づき Doris proxima として記載された。後に Adalaria Bergh, 1879 へ組み替えられ、現組合せの author 表記の括弧書きはこの属移動を示す。

Adalaria 属はコケムシ食性 (主に Electra pilosa 等の被覆性コケムシ) で、本種も同様にコケムシ群体上で見つかることが多い。雌雄同体で交尾し、らせん状の卵塊を岩面やコケムシ群体の上に産み付ける。発生は浮遊期を持つベリジャー幼生型 (planktotrophic)。Martynov et al. 2009 はロシア極東のオンキドリス科の比較分類学的研究において本種を含む属レベルの再検討を行った。
References

本書に掲載されています

中野理枝. (2019). 日本のウミウシ. 第二版. 文一総合出版. 表紙

中野理枝. (2019). 日本のウミウシ. 第二版. 文一総合出版.

文一総合出版

本書には Adalaria proxima の解説・写真が掲載されています。

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