カンテンウミフクロウ Pleurobranchella nicobarica Thiele, 1925

カンテンウミフクロウ Pleurobranchella nicobarica

Location
日本
Date
2019/04/23
Size
??mm
Depth
??m
Water temperature
??℃

特徴

体長は生時 9〜13 cm、最大で約 15 cm に達する大型の後鰓類。体は楕円形で半透明の寒天質、非常に柔らかく内臓が透けて見える。固定後は収縮して硬く不透明になる。体表は白色から暗灰色で、蹠面や鰓の周辺は橙色から黒紫色を帯びることがある。
背楯は大きく、足の側方と後方を覆い、殻は持たない。背楯の前縁は口の上で左右融合して幅広い頭膜となり、その両側に 1 対の短い触角が伸びる。鰓は右体側のほぼ中央、背楯の縁の下に位置し、結節状の中軸と約 40 対の羽状葉を備える。陰茎はらせん状で、凸面に基部へ向かう鉤状の小突起を疎らに備える。
駿河湾の水深 200〜400 m で操業されるタカアシガニ漁で混獲され、漁師は「クラゲ」と呼ぶ。胃内容物として小型の無脊椎動物片や魚の鱗が見つかっており、肉食ないし腐肉食と推定される。

分布

模式産地はニコバル諸島(大ニコバル島南西沖、水深 296 m)。インド洋から西太平洋にかけての深海(水深 200〜400 m)に広く分布する。具体的には南アフリカ、アデン湾、海南島南方、フィリピン南西沖、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州沖からも記録がある。日本では井上・奥谷 1987 によって駿河湾(伊豆半島西岸沖、水深 200〜400 m)から本種として初めて報告され、これは当時の北限記録となった。

種小名の由来

nicobarica は模式産地のニコバル諸島(インド洋東部)にちなむ。「ニコバル諸島産の」の意。

補足

Thiele 1925 は本種を Euselenops Pilsbry, 1896 の亜属 Pleurobranchella として記載した。後に Er. Marcus & Ev. Marcus 1970、Willan 1977、Ev. Marcus & Gosliner 1984 によって Pleurobranchella は独立属に格上げされた。属の特徴は単尖頭の側歯のみからなる歯舌、巨大な背楯、陰茎凸面の鉤状小突起。
南アフリカから記載された Pleurobranchoides gilchristi O'Donoghue, 1929 と、海南島から記載された Gigantonotum album Lin & Tchang, 1965 は本種のシノニム。和名「カンテンウミフクロウ」は、半透明で寒天質の体を寒天に喩えて井上・奥谷 1987 が新称した。
References
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