ハツユキミノウミウシ Diaphoreolis viridis (Forbes, 1840)

ハツユキミノウミウシ Diaphoreolis viridis

Location
日本>新潟>親不知>パーク前ビーチ
Date
2019/05/01
Size
5mm
Depth
5.0m
Water temperature
12.0℃

特徴

体長 25 mm に達する細長いミノウミウシ類触角口触手は滑らかで、触角は口触手より長い。背側突起は円筒形で先端が尖り、背側方に櫛状の連続した規則的な横列をなして並ぶ (前肛部最大 6 列)。
体地色は半透明の白色から黄白色を呈する。触角と口触手の先端部は白色色素で覆われる。背側突起内の消化腺の色は産地によって変異が大きく、北太平洋集団では褐緑色から赤色、北大西洋集団では暗緑色から橙色まで変異する。背側突起表面の白色色素も産地ごとに異なり、北太平洋集団では大型の丸い白斑が背側に不規則に散らばる。北大西洋集団では小斑が点線状に並ぶか、ときに大型の丸い白斑をもち、白色色素をほぼ欠く個体も見られる。背側突起先端の刺胞嚢は光沢のある白色。尾の正中線にはしばしば不透明な白色線が走る。

分布

北大西洋と北太平洋の両海域に分布する。模式産地は英国マン島ボーラフ。北東大西洋ではグリーンランド・アイスランド・デンマーク・フランス・オランダ・アイルランド・ノルウェー・スウェーデン・英国、北極域では白海・バレンツ海から記録されている。北西太平洋では日本海 (本州中部から北海道西部、富山湾・越前海岸・積丹半島・臼尻) と千島列島、北東太平洋ではアラスカ州とワシントン州から記録される。低潮帯から水深 35 m まで。

種小名の由来

種小名 viridis はラテン語で「緑色の」を意味し、背側突起内の緑色の消化腺にちなむ。和名「ハツユキミノウミウシ」(初雪ミノウミウシ) は触角・口触手の白色色素に由来する。ジュニアシノニムの種小名 midori は日本語の「緑」に由来し、同じく消化腺の暗緑色にちなむ。

補足

日本海産の集団は当初 Trinchesia midori として新種記載されたのち Diaphoreolis 属に組み合わせ変更されていたが、3 マーカー (COI・16S・H3) 結合系統解析と核マーカー (18S・ITS2) を含む統合的再検討により、北大西洋・北西太平洋・北東太平洋の集団間に種レベルの遺伝的隔離も連続的でない形態的差異も認められないと結論され、Diaphoreolis midori はジュニアシノニムとして Diaphoreolis viridis に統合された。同時に提唱されていた亜種 D. viridis emeraldi も同様にシノニム化されている。
ミトコンドリア COI では北太平洋に 2 つ、北大西洋・亜北極域に 1 つの計 3 つのハプログループが認められる一方、核 18S・ITS2 では集団間に固定置換が見られない。更新世の氷期に集団が隔離されたのち、間氷期にベーリング海峡を介した遺伝子交流が起こり核ゲノムが均質化したと推定されている。
餌はヒドロ虫類で、DiphasiaHydrallmaniaSertularella 属各種が報告されている。産卵期は英国近海で 2 月から 8 月。
References

本書に掲載されています

中野理枝. (2019). 日本のウミウシ. 第二版. 文一総合出版. 表紙

中野理枝. (2019). 日本のウミウシ. 第二版. 文一総合出版.

文一総合出版

本書には Diaphoreolis viridis の解説・写真が掲載されています。

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