イクオハダカカメガイ Paedoclione doliiformis Danforth, 1907

イクオハダカカメガイ Paedoclione doliiformis

Location
日本>北海道>知床>幌別
Date
2021/02/27
Size
30mm
Depth
5.0m
Water temperature
-2.0℃

イクオハダカカメガイとは

太平洋の温帯〜冷水域に分布する極小のハダカカメガイ科の浮遊種。北海道近海で海中写真家 中村征夫氏が最初に撮影したことから「イクオネ (中村のニックネーム"イクオ" + クリオネ)」と呼ばれ、それが転じて和名「イクオハダカカメガイ」となった。

特徴

体長は約 5 mm。頭部触角は短小、翼足は丸みのある方形。口円錐は非対称で 2 対をもつ。頭部の後ろ、体の中央付近、後端近くに明瞭な繊毛帯を備える。成体でも殻を持たず、体はゼラチン質で大部分が透明、前部にオレンジ色の内臓塊が透けて見える。成体になっても幼生期の外部形態を保持する幼形成熟 (ネオテニー) が知られる。

分布

原記載 (Danforth, 1907) はアメリカ合衆国メイン州カスコ湾で得られた個体に基づく。当初は記載から 61 年間にわたり再採集されず、1968 年にカナダ・ノバスコシア州やメイン湾で再発見された。奥谷 (2017)『わが国近海に見られる浮遊性巻貝類—VII 裸殻翼足類』では、太平洋の温帯〜冷水域に分布する種として記載されており、日本では北海道近海から記録されている。

種小名の由来

種小名 doliiformis はラテン語 dolium(樽)と -formis(〜の形をした)の合成で、樽のような体形にちなむ。属名 Paedoclione はギリシャ語 paedo-(幼い)と近縁属名 Clione の合成で、「幼いクリオネ」を意味する。

和名の由来

奥谷 (2017) によれば、和名は最初に北海道近海で本種を撮影した海中写真家 中村征夫氏が、自身の名前「征夫 (いくお)」とクリオネを合わせて「イクオネ」と呼んだことに由来し、それが「イクオハダカカメガイ」として定着した。

補足

Paedoclione 属の唯一の種にあたる。奥谷 (2000)『日本近海産貝類図鑑』では和名「イクオハダカカメガイ (改称)」を別種 Pneumoderma atlanticum pacificum に当てていたが、奥谷自身が 2017 年の改訂版 (うみうし通信 No. 94) で本種に和名を当て直しており、現在は本種への適用が確定している。
References

本書に掲載されています

中野理枝. (2019). 日本のウミウシ. 第二版. 文一総合出版. 表紙

中野理枝. (2019). 日本のウミウシ. 第二版. 文一総合出版.

文一総合出版

本書には Paedoclione doliiformis の解説・写真が掲載されています。

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