ムラクモキジビキガイ Japonactaeon nipponensis (Yamakawa, 1911)
特徴
殻長 10 mm 前後の小型のオオシイノミガイ科の貝。殻は卵形〜亜円筒形で、白色〜淡色の地に暗色の螺帯が走る斑紋をもつ。明色帯と暗色帯のコントラストには個体差が大きく、典型的な南日本の個体では明瞭な白い縞が現れるが、本州北部やロシア極東の個体群では黒色色素が増して殻全体が暗色化する傾向がある。殻表は概ね平滑で、殻の上部と下部に微細な螺刻線をもつ。軟体部は黒色を呈する。分布
模式産地は東京周辺の更新世洪積層で、本種は更新世化石として原記載された (模式標本は失われている)。現生種としては日本沿岸 (本州西部から九州を中心に、本州北部にも一部)、朝鮮半島南岸、ロシア極東のピョートル大帝湾 (スホドル湾・テリャコフスキー湾) から記録されている。潮間帯〜水深 5 m 程度の干潟に生息する。種小名の由来
種小名 nipponensis はラテン語で「日本産の」「日本に由来する」の意で、模式産地が日本であることにちなむ。補足
属 Japonactaeon は瀧巖が 1956 年に立てた東アジア沿岸産の独立属で、本種はそのタイプ種。日本産集団とロシア極東産集団のあいだには殻の色彩多型が見られるが、近年の分子系統解析では両者は同一種であることが確認されている。日本の環境省レッドデータブックでは準絶滅危惧種とされ、東アジアの干潟生態系を代表する種の一つだが、海岸開発・埋立・水質悪化により生息地が大きく減少している。References
- Actaeon tornatilis Linné var. nipponensis Yamakawa (Pl. X figs 1-3), Yamakawa G. (1911). Descriptions of some fossil Opisthobranchiata from the diluvial deposit of Japan, II. The Journal of the Geological Society of Japan, 18(212): 47-52, pls. X-XI.