カノコキセワタガイ科 (Aglajidae) に分類される未同定種のひとつ。 黒い体に細かい白点が散らばる体色をもち、 台湾産
Nakamigawaia nakanoae の白点散布型に外見が酷似するが、 mtDNA (COI) では明確に別系統となる。
分子データから見た位置
COI による BLAST では、 同科の
Philinopsis depicta (84% identity)、
Chelidonura sandrana、
Mariaglaja tsurugensis、
Aglaja felis、
Navanax gemmatus などが 82-84% identity で並ぶ。 user 標本は Aglajidae 内の既知属とほぼ等距離 (16-18% diff) で、 どの既知種とも一致しないが、 family レベルでは Aglajidae 内に明確に収まる。
Nakamigawaia nakanoae との区別
外見上は
N. nakanoae の Taiwan 産白点散布型と紛らわしいが、 同種 paratype (ZMBN 116777・116778) との COI distance は 22% (= 77.8-78.2% identity)。 これは Aglajidae 内の属境界をはるかに超える値で、 同属候補としても成立しない。 加えて尻尾の形状も
N. nakanoae と異なる印象がある。 黒地に白点が散布する体色パターンは Aglajidae の複数属で convergent に出現する形質であり、 外見だけでは genus を絞り込めない。
補足
Aglajidae の属同定には体色だけでなく、 砂嚢板や内殻の形状観察が必要。 本標本も内殻・砂嚢板の解剖観察と、 16S / H3 などの追加 marker による連結系統解析を経て属帰属を確定する。 当面は Aglajidae sp.10 として保留する。