ウズマキキセワタ Nakamigawaia spiralis Kuroda & T. Habe, 1961

ウズマキキセワタ Nakamigawaia spiralis

Location
日本>神奈川>城ヶ島>梶の浜
Date
2021/06/14
Size
30mm
Depth
4.0m
Water temperature
20.0℃

特徴

頭楯目カノコキセワタガイ科のウミウシ。体形は円筒状で、側足は強く退縮し、外套楯の後縁は左右対称な短い尾葉で終わる。眼は外から見えないほど沈み込み、頭楯は砂泥底に潜るのに適した形をしている。生体の体表は全体に光沢のある深い紫黒色で、側足の内側のみ白色を呈する。生時の体長は約 35mm に達する (固定標本では 25mm 前後)。

外套楯の後端には固い貝殻が完全に内蔵される。殻は十分に石灰化して堅く、約 3 巻きに巻き、わずかに螺旋状に伸びるが、他の多くのカノコキセワタガイ科のような卵形 (ブルロイド) にはならない。

内部解剖では、口管に唇腺を欠き、咽頭は強く筋肉質で剛直、歯舌をまったく欠く。食道の後方には大きな嗉嚢が続き、胃は肝臓塊に覆われる。カノコキセワタガイ科に固有の「感覚瘤」を欠き、口の両側にある剛毛性の隆起も発達しない、という解剖学的にもユニークな特徴をもつ (Baba, 1985)。

分布

模式産地は相模湾の逗子で、相模湾沿岸 (笠島ほか)、瀬戸内海 (向島周辺)、九州西岸 (天草) など日本沿岸から記録がある。マリアナ諸島 (グアム、パガン) からも記録がある。砂泥底に潜り、浅海から潮下帯にかけて生息する。

種小名の由来

ラテン語の spiralis は「螺旋状の、巻いた」の意。和名「ウズマキキセワタ」も同義の語形。

補足

Nakamigawaia は Kuroda & Habe in Habe 1961 によって本種を模式種として設立された単型属だったが、Hellem & Malaquias 2021 の見直しで西太平洋から第二の種 N. nakanoae が記載され、現在は西大西洋産のクロボウズ N. felis (Er. Marcus & Ev. Marcus, 1970) と合わせて 3 種からなる。N. nakanoae とは貝殻が緩やかに開いて拡がるかどうかで、N. felis とは貝殻・雄性生殖器・尾葉の細部で区別される。

Baba 1985 による解剖学的再記載によって、外部形態は Philine やカノコキセワタガイ科の他属に似るが、消化器系の構造はカノコキセワタガイ科に属することが確認された。
References

本書に掲載されています

中野理枝. (2019). 日本のウミウシ. 第二版. 文一総合出版. 表紙

中野理枝. (2019). 日本のウミウシ. 第二版. 文一総合出版.

文一総合出版

本書には Nakamigawaia spiralis の解説・写真が掲載されています。

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