ユリヤガイ Julia japonica Kuroda & Habe, 1951
特徴
体も殻もあざやかな緑色をした、二枚貝のような姿の嚢舌目の貝。腹足類でありながら左右 2 枚の殻をちょうつがいでつなぎ、見た目はごく小さな緑のアサリそっくりに見える。殻長はおよそ 8mm。殻頂のすぐ下が大きく窪むことで、近縁の他種と区別できる。触角は筒状に巻き、色は体地色と同じ緑。緑藻に取りついて葉上で過ごし、保護色として機能する。分布
模式産地は和歌山県(本州)。日本沿岸を中心に記録される。種小名の由来
種小名 japonica はラテン語で「日本の」の意。模式産地である日本にちなむ。補足
緑藻ミルクサ Microdictyon japonicum を食草とする。本種が属するユリヤガイ科 (Juliidae) は、長らく化石でしか知られておらず二枚貝と誤認されていたが、1959 年に川口四郎が和歌山県下で生きた個体を発見し、嚢舌目に属する腹足類であることが判明したという経緯をもつ「殻が二枚ある巻貝」として知られる。和名「ユリヤガイ」は、黒田徳米 1935 が別種 Julia exquisita に対して与えた新称が起源で、その後 Kuroda & Habe 1951 によって日本産個体群が本種として記載された。References
- Julia exquisita ユリヤガイ(新称), 黒田徳米. (1935). 附録: 日本産有殻軟體動物總目録 (16). ヴヰナス. 5(4): 145-154. https://doi.org/10.18941/venusomsj.5.4_145
- ニホンユリヤガイ, 川口四郎. (1983). 二殻腹足類ユリヤガイ. 川崎医療短期大学紀要. 2: 93-100. https://doi.org/10.18928/00000643
- Julia japonica, McCarthy-Taylor J.B., Krug P.J., Muro S., Vendetti J., Maestrati P., Wong N.L.W.S., Gosliner T.M. & Valdés Á. (2025). The slug within the bivalve: molecular and morphological systematics of the family Juliidae (Gastropoda: Panpulmonata: Sacoglossa). Zoological Journal of the Linnean Society. 204(2): zlaf056. https://doi.org/10.1093/zoolinnean/zlaf056