オーストロドーリス・ケルゲレンエンシス Austrodoris kerguelenensis (Bergh, 1884)

オーストロドーリス・ケルゲレンエンシス Austrodoris kerguelenensis

Location
南極
Date
2025/02/04
Size
20mm
Depth
7.0m
Water temperature
-1.0℃

オーストロドーリス・ケルゲレンエンシスとは

亜南極・ケルゲレン諸島を模式産地とする体長 4.5 cm 程度の中型のドーリス類で、 白色〜鮮黄色の体表全面が大小のイボ状突起で密に覆われる。 南極大陸周辺〜亜南極島嶼の冷水域に広く分布する。

特徴

体長 4.5 cm 程度に達する中型のドーリス類。生時の体地色は変異に富み、白色から鮮やかな黄色まで幅広い。背面は全面が大小不揃いの密生したイボ状突起に覆われ、外套膜の縁付近には特に小型の突起が並ぶ。触角は強壮で、葉状部に約 30〜40 枚の幅広い葉と先端の小さな乳頭をもつ。鰓は三回羽状の 7 葉が馬蹄形に並ぶ。Bergh の原記載 (アルコール固定 1 個体) は体長 4.5 cm、体幅 1.8 cm、体高 1.2 cm、外套膜縁の幅 4.5 mm、足の幅 12 mm、尾の長さ 5 mm、横長楕円形の鰓孔の径 8 mm、収縮した触角の高さ 4 mm、収縮した鰓の高さ 5 mm、口触手の長さ 3 mm、最大の背面突起の径 1.3 mm の個体に基づく。地色は全体に黄色味を帯び、前方および背面の側部はオークル黄、足縁の上面はそれよりやや淡色、触角と鰓は黄白色を呈すると記述された。体は伸長した楕円形で、外套膜縁は幅広くなく強壮。背面はわずかに凸状で全面に大小の突起が密生し、最小の突起は主に外套膜縁にある。触角孔は前寄りに位置し、丸く、わずかに突出する縁に小突起をもつ。鰓孔は横長楕円で、わずかに張り出すゆるく波状の縁にも小突起がある。肛門乳頭 (高さ 2.5 mm) は鰓馬蹄の開口部に位置し、わずかに波状の縁をもつ。腎孔は肛門乳頭の基部右側にスリット状に開く。足は強壮で、体側からわずかに張り出し (約 2.5 mm)、前方ではより大きく張り出す (4.5 mm)。前足は丸みを帯び、縁溝をもつ。

分布

南極大陸周辺〜亜南極島嶼。模式産地はインド洋亜南極のケルゲレン諸島・ロイヤル湾沖、南緯 49°40′・東経 70°20′、水深 25 ファゾム (約 46 m) で、英国海軍チャレンジャー号探検 (1873-1876) が 1874 年 1 月 17 日に採集した 1 個体に基づく。後にサウスシェトランド諸島、サウスジョージア島、南極半島周辺、フォークランド諸島、サウスサンドイッチ諸島など、南極大陸および亜南極島嶼を取り巻く冷水域から広く記録されている。

種小名の由来

ラテン語化した形容詞で、「ケルゲレンの」「ケルゲレン産の」を意味する。模式産地が亜南極のケルゲレン諸島であることに由来する命名。

補足

原記載では Bergh が Archidoris 属に置いた。Bergh は同時に近縁の Archidoris australis も新種として記載しているが、両者は後の研究で同種とされ、より広範な南極・亜南極個体群とも合わせて 1 種に統合された。後年の分類学的整理により Austrodoris 属に移され (author 表記の括弧書きはこの属移動を示す)、近年は再び Doris 属に置かれることもある。本種はホヤ・コケムシ海綿などを餌とし、テルペノイド系の防御化学物質を蓄積することが知られている。
References
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観察地: ×

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