カンランウミウシ Polybranchia orientalis (Kelaart, 1858)

カンランウミウシ Polybranchia orientalis

Location
オーストラリア>ニューサウスウェールズ>Chowder Bay
Date
2021/04/01
Size
400mm
Depth
5.0m
Water temperature
21.0℃

特徴

体長 20〜35 mm の中型のゴクラクミドリガイ類。体は卵形で前方は広く、後方に向かって細まる。体地色は半透明の褐色で、全身に微細な暗褐色の細点が密に散らばるため、生時はやや黒っぽく見える。心膜 (心臓を覆う部分) は鮮やかな白色で背面で非常に目立つ。触角は半透明で淡褐色の縦線と微細な褐色の点をもち、二又に分かれて先端は丸い。口触手は短く尖る。
側葉 (背側突起) は扇形・葉状で、左右にそれぞれ 4〜5 列が並び、頭部後方にも 2〜3 列が並ぶ。各突起は半透明で、全面に肉桂褐色の斑点が散らばり、背中央寄りに 2 個の黄色斑があって、ときに中央に黒色点を伴う。突起の縁取りは淡黄色。背側中央寄りには大きな黄色の乳頭 1 個と、その下方に小型の黄色乳頭 1 個があり、ほかにも背腹面に白色のごく小さい乳頭が散在する。側葉基部の凹みは雪のような白色を呈する。卵塊は白色で、糸状にうねって渦巻く。

分布

模式産地はスリランカ・トリンコマリー。原記載時には 5 月および 7 月の採集が記録されている。本種は緑藻 Caulerpa 属 (とくに C. peltata) の上で見出される。近年のリビジョン以降、本種の確認分布はスリランカ・南インド・フィリピン・日本 (静岡や相模湾) に限られ、それ以外の旧記録は同属の他種に再振り分けされている。

種小名の由来

種小名 orientalis はラテン語で「東方の」「東洋の」の意で、模式産地のスリランカ (旧セイロン) が当時のヨーロッパからみて東方に位置することにちなむ。

補足

本種を含む Polybranchia 属は長らくインド-西太平洋に広く分布する単一種とみなされてきたが、分子系統と形態を統合した近年の解析により、地域ごとに 7 種に分割された。リビジョン後の P. orientalis はスリランカ・南インド・フィリピン・日本などインド-西太平洋の限られた地域から記録される一方、オーストラリア・ハワイなどの旧記録は同属の他種 (P. burniP. samanthaeP. jensenae 等) に再振り分けされている。夜行性で、日中は岩陰や宿主の緑藻の下に隠れる。捕食者に襲われると側葉を自切して身を守ることが知られる。
References

本書に掲載されています

Terrence Gosliner, Ángel Valdés and David Behrens. (2018). Nudibranch and Sea Slug Identification Indo-Pacific 2nd Edition. New World Pubns Inc. 表紙

Terrence Gosliner, Ángel Valdés and David Behrens. (2018). Nudibranch and Sea Slug Identification Indo-Pacific 2nd Edition. New World Pubns Inc.

New World Publications

本書には Polybranchia orientalis の解説・写真が掲載されています。

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