クルクルミノウミウシ Phidiana salaamica Rudman, 1980
特徴
体長 13 mm 程度の小型のミノウミウシ類。体形は Phidiana 属の典型で細長く高さがあり、心嚢部が顕著に膨らむ。触角と口触手は表面が平滑で長く、ほぼ同長で先端は丸みを帯びて細くなる。腹足前縁は左右に先細る足角を伸ばす。背側突起は前部に 5 列の集団があり、心嚢の後では大半の列が対をなすが、最後方の数列は単列。背側突起は属内では長く、多くは触角と同長。最内側の突起は極めて長く、立てた状態で体長の 3 分の 2 に達する。最も長い突起は通常各突起群の最後方列の頂部にあり、平常時は背面に丸まって乗り、危機時には硬直して立ち上がる。これが和名「クルクル」の由来となっている。最も長い突起は捕食者に攻撃されやすく、欠落と再生の痕跡が認められる。
頭部と口触手は半透明の白色で、口球の鮮橙色が透けて見える。体は半透明だが内臓と血腔液から薄黄色の色調をもつ。触角は半透明の橙色で、中央に幅広い白色の帯がある。腹足は半透明白色。背側突起の大半は透明で消化腺は杏黄色、各突起の遠端で消化腺は赤紫色の帽状部分をもつ。最小の突起 (第 1 列) は壁にも赤色斑をもち、最小個体では各突起基部に赤色斑が集まる。最長の突起では壁の上 3 分の 2 が白色を呈し、内部の色を覆い隠すがすべては隠さない。
分布
模式産地はタンザニア・ダルエスサラーム北方 12 km の Kunduchi Beach。原記載時はタンザニア (Kunduchi Beach・Pangavini Island) のみから知られていた。後年の観察ではパプアニューギニア・フィリピン・日本まで分布が拡張されているが、これら個体が原記載のタンザニア産個体と同一種か否かは分子データによる確認が望まれる。種小名の由来
種小名 salaamica は模式産地のダルエスサラーム (Dar es Salaam, タンザニア) に由来する地名形容詞。和名の由来
クルクルと巻き込むような背側突起の形状にちなむ。補足
属内では色彩・突起配列に加え、心嚢後の突起群が 2 列のみで構成される点で他種と外見的に区別される。References
- (仮称)クルクルミノウミウシ, 小野篤司. (1999). ウミウシガイドブック. TBSブリタニカ.
- クルクルミノウミウシ(新称), 小野篤司. (2000). ウミウシガイドブック. 第2版. TBSブリタニカ.
- クルクルミノウミウシ, 小野篤司. (2004). 沖縄のウミウシ. ラトルズ.
- Phidiana salaamica, Terrence Gosliner, Ángel Valdés and David Behrens. (2015). Nudibranch and Sea Slug Identification Indo-Pacific. New World Pubns Inc.
本書に掲載されています
Terrence Gosliner, Ángel Valdés and David Behrens. (2018). Nudibranch and Sea Slug Identification Indo-Pacific 2nd Edition. New World Pubns Inc.
New World Publications
本書には Phidiana salaamica の解説・写真が掲載されています。
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