クロミドリガイ Elysia atroviridis Baba, 1955

クロミドリガイ Elysia atroviridis

Location
日本>福井>越前>ログ前
Date
2021/04/25
Size
10mm
Depth
6.0m
Water temperature
15.0℃

特徴

体長は 20 mm 前後に達する小型の嚢舌類。体地色は深緑色で、体表には白色の細点が散在する。側足の縁は緩やかに波打ち、白色から黄色の細い線で縁取られる。触角は黒みを帯び、基部に白い輪が入る個体もある。Takano et al. 2013 による 9 都道府県 46 個体の検討では、頭頸部の白色いぼ状突起の有無、側足上の赤褐色の輪紋、触角に並ぶ乳頭状突起など、かつて 2 種を区別する形態形質と考えられていた特徴は、いずれも本種の個体内変異の範囲に収まり、各形質が独立に組み合わさって出現することが示された。

分布

模式産地は相模湾。原記載時は相模湾から記録されていた。日本各地に広く分布し、Takano et al. 2013 では大分県蒲江、山口県角島、広島県向島、岡山県玉野、三重県志摩、神奈川県三浦、千葉県館山、千葉県銚子、新潟県佐渡 (田鯊) の太平洋沿岸および瀬戸内海から個体が得られている。

種小名の由来

種小名 atroviridis はラテン語の ater / atro- (黒い) と viridis (緑色の) を組み合わせた形容詞で「黒緑色の」を意味する。和名「クロミドリガイ」もこの体色に対応する。

補足

セトミドリガイ Elysia setoensis Hamatani, 1968 は、Takano et al. 2013 の COI および 16S rRNA を用いた分子系統解析と形態の再検討により本種のジュニアシノニムとされた。両「種」の標本 46 個体は単一のクレードを形成し、ハプロタイプネットワークにも形態型・地理・宿主藻による分化は認められなかった。食性は緑藻のミル属 Codium をはじめ、ハネモ属 Bryopsis、ミドリゲ属 Cladophora、フサイワヅタ属 Caulerpa、サボテングサ属 Halimeda、ツユノイト属 Derbesia など複数属の緑藻に及ぶ。盗葉緑体を体内に保持して光合成を行うことが知られ、Mitoh & Yusa 2021 は本種で頸部からの自切と全身再生という極端な現象を報告した。
References
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