シロホクヨウウミウシ Tritonia festiva (Stearns, 1873)
特徴
体地色は白〜淡桃色〜オレンジ〜茶褐色まで変異に富み、背面に白色の網目状あるいはひし形の模様が浮き出る個体が多い。北米西岸では背面のひし形模様にちなみ「diamondback tritonia」の名で親しまれる。室蘭で得られた日本産個体 (Baba, 1957) は地色が半透明の白色で、内臓嚢が赤味を帯びて透けて見える型。外套膜の縁には樹枝状に分岐する二次鰓が左右に並び、口幕の前縁には指状の小突起が並ぶ。触角は鞘から出る軸の先が樹枝状に分かれ、外套縁の二次鰓と外見が似る。背面には小突起が散在する。
体長は産地により差があり、潮間帯個体で 35 mm 前後、亜潮間帯では 50 mm を超え、ピュージェット湾では 100 mm に達した記録がある。馬場 1957 の室蘭個体は 55 mm に達した。
分布
北太平洋に広く分布する寒流系種。北米側ではアラスカ南中部からメキシコ・バハカリフォルニア北部、西太平洋側では日本・韓国から記録がある。日本では 馬場 1957 が室蘭産個体を初めて記録し、和名を提唱した。種小名の由来
種小名 festiva はラテン語 festivus (祝祭の・華やかな) の女性形で、背面に浮かぶ華やかな網目模様にちなむ。原記載者 Stearns はサンフランシスコ湾で得た個体について、当時の新属 Lateribranchiaea Stearns, 1873 のもとに本種を記載した。補足
八放サンゴ類を主な餌とし、ウミトサカ (Alcyonium 属・Gersemia 属)、ウミエラ (Ptilosarcus gurneyi 等)、ヤギ類などのポリプを食べることが知られる。前縁の口幕で獲物を探知し、ポリプが収縮する前に捕食する。原記載は Lateribranchiaea festiva Stearns, 1873 (北米カリフォルニア産) として行われ、後に Tritonia 属に移された。Tritonia reticulata Bergh, 1882 と Sphaerostoma undulata O'Donoghue, 1924 はジュニアシノニム。馬場 1957 が室蘭産個体に与えた変種名 muroranica も本種のシノニムとして扱われる。
References
- Duvaucelia (Duvaucelia) undulata O'Donoghue, var. muroranica Baba Shiro-hokuy6- umiushi (n. n.), Baba, K. 1957. A revised list of the species of Opisthobranchia from the northern part of Japan, with some additional descriptions. J. Fac. Sci., Hokkaido Univ.,ser. 6, Zool. 13(1-4):8-14.
- Marcus E. (1964). Additions to the nudibranch fauna of the east Pacific and the Gulf of California. Transactions of the San Diego Society of Natural History. 13: 377-396. https://doi.org/10.5962/bhl.part.9602
- 高岡生物研究会. (2002). 日本海のウミウシ. 第2版.
- Tritonia festiva, Behrens D.W., Hermosillo A., Fletcher K. & Jensen G.C. (2022). Nudibranchs & Sea Slugs of the Eastern Pacific. Molamarine.
本書に掲載されています
Behrens D.W., Hermosillo A., Fletcher K. & Jensen G.C. (2022). Nudibranchs & Sea Slugs of the Eastern Pacific. Molamarine.
Molamarine
本書には Tritonia festiva の解説・写真が掲載されています。
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