クラカトアウミウシ Hypselodoris krakatoa Gosliner & R. F. Johnson, 1999
特徴
体長 10〜55 mm に達する中型〜やや大型のアオウミウシ属。生体は伸長して体高があり、後方の鰓部域が外套膜の他部分より著しく高く隆起する点が本種の最大の特徴で、これが種小名の由来となる。頭部はヘラ状。外套膜の地色は淡い黄褐色で、その上に暗褐色の不規則な斑が散在し、背面では独特の不規則な「8 の字」型を構成する。配置と密度には大きな個体変異がある。外套膜には触角の前から始まり鰓の後方で合流する 2 本の黒色の平行線が走り、その上に乳白色〜淡青色の斑点が散在する。2 平行線の間には完全あるいは断続的な黒色線が走り、線上にも不透明白色の斑点が並ぶ。背面・体側・腹足には他にも孤立した黒色線や黒・白色斑点が散在することがある。頭部および腹足の外套膜縁は淡紫色。離れた触角は一様に銹褐色で、先端に不透明白色の斑点をもつ。触角の直後には半透明の明色域があり、眼が透けて見える。鰓は 7 葉の単羽状で、黄褐色地に銹赤色の鰓軸。分布
模式産地はフィリピン・バランガス湾の Culebra 島南端 (水深 25 m)。原記載時は沖縄、フィリピン、インドネシア、パプアニューギニアにかけて稀ではあるが亜潮間帯リーフから記録されており、水深 4〜56 m から得られていた。種小名の由来
種小名 krakatoa は、1883 年 8 月 26 日に大爆発を起こしたインドネシアの火山 Krakatoa にちなみ、外套膜から大きく吐出した火山様の鰓鞘形状を指す。補足
姉妹種 Hypselodoris reidi とともに、鰓鞘が円錐状に高く隆起する点で他種と区別される。本種は黒色線と黒色・白色斑点をもつのに対し H. reidi ではこれらを欠き、また H. reidi の鰓と触角は体地色と同じだが本種では赤色色素を伴う点で外見的に識別される。References
- Hypselodoris krakatoa sp. nov., Gosliner T.M. & Johnson R.F. (1999). Phylogeny of Hypselodoris (Nudibranchia: Chromodorididae) with a review of the monophyletic clade of Indo-Pacific species, including descriptions of twelve new species. Zoological Journal of the Linnean Society. 125: 1-114. https://doi.org/10.1111/j.1096-3642.1999.tb00585.x
- アンジンサイウミウシ(仮称), 益田一. (1999). 海洋生物ガイドブック. 東海大学出版会.
- アンジンサイウミウシ, 益田一. (1999). 海洋生物ガイドブック. 第2刷. 東海大学出版会.
- ヒュプセロドーリス・クラカトア, 中野理枝. (2004). 本州のウミウシ. ラトルズ.
- ヒュプセロドーリス・クラカトア, 小野篤司 & 加藤昌一. (2009). ウミウシ. 誠文堂新光社.
- Hypselodoris krakatoa, Johnson R.F. & Gosliner T.M. (2012). Traditional taxonomic groupings mask evolutionary history: a molecular phylogeny and new classification of the chromodorid nudibranchs. PLoS ONE 7(4): e33479.
- Hypselodoris krakatoa, Terrence Gosliner, Ángel Valdés and David Behrens. (2015). Nudibranch and Sea Slug Identification Indo-Pacific. New World Pubns Inc.
- クラカトアウミウシ(新称), 中野理枝. (2018). 日本のウミウシ. 文一総合出版.
本書に掲載されています
中野理枝. (2019). 日本のウミウシ. 第二版. 文一総合出版.
文一総合出版
本書には Hypselodoris krakatoa の解説・写真が掲載されています。
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