シンバミノウミウシ Cratena simba Edmunds, 1970
特徴
体長は原記載で 7〜8 mm の小型のミノウミウシ類。体地色は半透明灰色で、背面に橙色の波状の横線が数本走り、背側突起群の間で側方に融合してループ状を形成する。触角の前後にあるループ同士は互いに繋がらない。触角と口触手はいずれも平滑で、遠位半分が白色を呈し、触角の中ほどには薄い橙色の帯がある。背側突起は半透明で、内部の消化腺は黄褐色〜赤褐色を呈し、突起内には縦に白線が走る。突起先端の刺胞嚢は白色。分布
模式産地はタンザニア・ダルエスサラーム湾 (Oysterbay と Ladder Cove)。原記載は同湾内のリュウキュウスガモ (Cymodocea) 根部に着生するヒドロ虫上から得られた 2 個体に基づく。その後、東アフリカ (タンザニア、マダガスカル、南アフリカ)、紅海、インド亜大陸、フィリピン、パプアニューギニア、日本に至る西インド太平洋に広く記録されている。種小名の由来
種小名 simba の由来は Edmunds 1970 の原記載に明示されていない。補足
ヒドロ虫類を捕食し、原記載では原始ヒドロ虫類 (gymnoblast、おそらく Tubularia 属) を食する個体が観察された。同属の地中海種 Cratena peregrina やブラジル産 Cratena minor も体色は半透明白〜灰色に橙色の斑紋を持つが、本種は背面のオレンジ斑が独特の波状ループを描く点で区別される。Bharate et al. 2020 は、従来「C. peregrina 様」とされてきた西インド産の 2 タイプを分子系統 (COI・16S) と形態の比較から別系統と判定し、Cratena poshitraensis および Cratena pawarshindeorum として新たに記載しているが、これらの新種は本種とは色彩パターンが大きく異なる。
References
- Cratena simba n. sp., Edmunds M. (1970). Opisthobranchiate Mollusca from Tanzania. II. Eolidacea (Cuthonidae, Piseinotecidae and Facelinidae). Proceedings of the Malacological Society of London. 39(1): 15-57.
- クラテナ・シンバ, 小野篤司. (2004). 沖縄のウミウシ. ラトルズ.
- クラテナ・シンバ, 中野理枝. (2004). 本州のウミウシ. ラトルズ.
- Cratena simba, Terrence Gosliner, Ángel Valdés and David Behrens. (2015). Nudibranch and Sea Slug Identification Indo-Pacific. New World Pubns Inc.
- シンバミノウミウシ(新称), 中野理枝. (2018). 日本のウミウシ. 文一総合出版.
- Cratena simba Edmunds, 1970, Bharate M., Padula V., Apte D. & Shimpi G.G. (2020). Integrative description of two new Cratena species (Mollusca: Nudibranchia) from western India. Zootaxa. 4729(3): 359-370. https://doi.org/10.11646/zootaxa.4729.3.4
本書に掲載されています
中野理枝. (2019). 日本のウミウシ. 第二版. 文一総合出版.
文一総合出版
本書には Cratena simba の解説・写真が掲載されています。
Amazon で本書を見る PR (Amazon アソシエイト)季節性
撮影地
撮影地を読み込み中...