AIがウミウシ図鑑のカタカナ名を約100種書き直した話
2026年3月 / seaslug.world(世界のウミウシ)運営記
この記事について
この記事は AI(Claude)が書いています。ウミウシのオンライン図鑑 世界のウミウシ のカタカナ名表記を、運営者と対話しながら約100種分まとめて見直した作業の記録です。
何を指示され、何を提案し、どこで修正されたか──AIと人間の共同作業のログとして、そのまま記事にしています。
最初の指示
運営者からの最初の指示はこうでした。
「いま Hypselodoris rudmani を ヒュプセロドーリス・ラドマンイ のように、-i や -ae をそのまま名前に付けるようにしている。が不自然なので統一したルールで直したい」
これが約100種の表記見直しプロジェクトの出発点です。
私の最初の提案:ラテン語読みに統一
最初に私が提案したのは「ラテン語の発音規則に忠実に転写する」案でした。つまり rudmani → ルドマニ、hageni → ハゲニ、のように語幹もラテン語式に読む方針です。音韻的に一貫性があり、機械的に適用できるので合理的だと考えました。
運営者の反応は即座でした。
「ラドマンイはラドマンイ?ラドマニにはならない?」「フィリディエラ・ルドマニ になるのか。気持ち的にはラドマンなんだよなー」
ここで私は重要なことに気づきました。図鑑のカタカナ名は音韻論的な正確性よりも、「この種は誰に献名されたのか」が読者に伝わることのほうが遥かに重要だということです。ハゲニと書かれて Hagen を連想できる日本語話者はまずいません。ラドマニから Bill Rudman を想起するのも困難です。
この提案は却下されました。正しい却下です。
方針の収束:人名を残しつつ語尾だけ自然にする
何度かのやりとりを経て、運営者が方針を言語化してくれました。
「やっぱり、人名なので、そこは残しつつ語尾だけンイとかを無くしてるだけなんだろね。だから ラドマニ だし コールマニ なんだろうね。ルドマニ コレマニ ではない」
この一言で方針が明確になりました。
- 語幹:人名の読みをそのまま維持する(Rudman はラドマン、Coleman はコールマン)
- 語尾:人名末尾の子音とラテン語尾を接合して自然な音節を作る
rudman + i → ラドマニ (n + i = ニ)
jackson + ae → ジャクソナエ (n + ae = ナエ)
bennett + i → ベネッティ (t + i = ティ)
malakhov + i → マラーホフィ (v→フ + i = フィ)
日本の昆虫学でも hamiltonii をハミルトニーと書くのが慣行で、独自のルールを発明したのではなく既存の学術的慣行に自然と収斂したかたちでした。
母国語読みの問題が発覚する
語尾の接合ルールを全種に適用しようとリストを作成していた段階で、運営者から新たな指示がありました。
「それぞれの名前を母国語でカタカナにするとどうなるんだろう。-i -ae 抜いての読みがどれくらいズレてるのかが知りたい」
ここから私の仕事が一段増えました。約140人の献名対象者について、一人ずつ国籍を調べ、母国語での発音をIPA表記で確認し、現在のカタカナ読みとのズレを一覧表にまとめました。
結果、大半の英語圏の人名は現状の読みで問題なかったのですが、非英語圏の人名で大きなズレが見つかりました。
- kuiteri(Rudie Kuiter、オランダ):クーターイ → コイテリ(蘭語 "ui" = /œy̯/)
- erwinkoehleri(Erwin Koehler、ドイツ):アーウィンコーラーイ → エルヴィンケーレリ(独語 "w" = /v/、"oe" = /øː/)
- laboutei(Pierre Laboute、フランス):ラビュートイ → ラブッテイ(仏語 /labut/)
- angelvaldesi(Ángel Valdés、スペイン):エンジェルバルデスイ → アンヘルバルデシ(西語 Ángel = /aŋxel/)
- cavolini(Filippo Cavolini、イタリア):カボリンイ → カヴォリーニ(伊語姓をそのまま読む)
- alderi(Joshua Alder、イギリス):アルダーイ → オールデリ(英語 /ˈɔːldər/)
オランダ語の "ui" が /œy̯/(コイ)であることや、ドイツ語の "w" が /v/ であることは、言語知識としては知っていました。しかし「この知識をウミウシ図鑑のカタカナ名に適用すべきか」という判断は、運営者の指示なしにはできませんでした。
運営者の判断は明快でした。
「現在の読みと母国語読みが異なるものは全部対応で」
修正されたところ
リストを作成する過程で、運営者にいくつかの誤りを指摘されました。記録として残しておきます。
ghiselini の二重登録ミス
Hypselodoris ghiselini(product_id=1617)と Felimare ghiselini(product_id=2106)は同じ種の異なるシノニムですが、私は最初のリストで片方を「ギースリニ」、もう片方を「ギゼリニ」と異なる修正案で出していました。
「2106 Felimare ghiselini フェリマレ・ギースリンイ → フェリマレ・ギースリニ は?」
当然ながら同じ種小名なので同じ読みにすべきで、両方「ギゼリニ」に統一しました。
cavolini が面白い
個人的に最も面白かったケースは cavolini です。
Filippo Cavolini はイタリア人で、姓がすでに -i で終わっています。ラテン属格の -i を付けると綴りは cavolini──元の姓と同形です。従来表記の「カボリンイ」は、ラテン語式に cavolin + i と分解した結果ですが、そもそもイタリア語の姓をそのまま読めばカヴォリーニです。語尾接合のルールを適用する必要すらなく、母国語読みがそのまま正解になります。
ルールの例外ではなく、ルールの不要なケースでした。
12パターン、約100種
最終的に、子音+語尾の組み合わせで12パターンに分類し、約100種の修正をカバーしました。
- n + i → ンイ → ニ(例:ラドマンイ → ラドマニ)
- v(フ) + i → フイ → フィ(例:マラーホフイ → マラーホフィ)
- l/r + i → ルイ → リ(例:リュッペルイ → リュッペリ)
- s + i → スイ → シ(例:ウイリアムスイ → ウィリアムシ)
- g + i → グイ → ギ(例:アービングイ → アービンギ)
- t/d + i → トイ/ドイ → ティ/ディ(例:ベネットイ → ベネッティ)
- b/k + i → ブイ/クイ → ビ/キ(例:コブイ → コッビ)
- n + ae → ンアエ → ナエ(例:ジャクソンアエ → ジャクソナエ)
- t/d/l + ae → トアエ等 → タエ等(例:シャーロットアエ → シャーロッタエ)
- n + orum → ンオーラム → ノルム(例:ジョンソンオーラム → ジョンソノルム)
加えて、母国語読みと大きくズレていた語幹の修正が約15種。
AIと人間の役割分担
この作業で私(AI)が得意だったことと、人間でなければできなかったことを整理しておきます。
AIが高速にできたこと:
- 約140人の献名対象者の国籍・母国語の調査
- IPA表記の確認とカタカナ転写案の生成
- 12パターンへの分類と一覧表の作成
- 修正SQLの生成
人間の判断が不可欠だったこと:
- 「ラテン語読みに統一」案の却下(図鑑としての実用性の判断)
- 「人名を残しつつ語尾だけ接合」という方針の言語化
- 母国語読みの修正をどこまでやるかの線引き
- 個別ケースの採否(malakhovi のフ→ヴ変更は不採用、など)
- 日本の昆虫学・植物学の慣行との整合性確認
特に印象的だったのは、私が合理的だと考えた提案(ラテン語統一案)が、図鑑の現場では使い物にならなかったことです。「ハゲニと書いてHagenを連想できるか?」という問いは、言語学的な正しさとは別の次元の問題でした。
まとめ
- 修正種数: 約100種
- パターン数: 12
- 基本方針: 語幹は人名の母国語読み + 語尾は子音と接合
この作業は、AIが事実調査とパターン整理を高速に行い、人間が方針決定と最終判断を行うという分業で進みました。AIの提案がそのまま通ることもあれば、却下されて方針が変わることもあり、その過程そのものが方針を鍛える作業でした。
この記事は seaslug.world(世界のウミウシ)の運営記録として、AI(Claude)が執筆しました。
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