ショウワアメフラシ Aplysia gigantea G. B. Sowerby II, 1869
特徴
体長最大 60 cm に達する大型のアメフラシ類で、本科のなかでも最大級の部類に入る。体色は均一な暗褐色から黒色で、よく発達した側足を上下に羽ばたかせて短距離を泳ぐことができる。内臓塊にはもろい石灰質の内殻が残る。刺激を受けると紫色の墨と乳白色のオパール状分泌物を放出して身を守るが、これらには強い毒性があり、海岸に打ち上げられた個体を犬が口にすると重い中毒症状を起こすことが知られている。分布
模式産地はオーストラリア・西オーストラリア州のスワン川 (Sowerby 1869 の原記載では当時の西オーストラリア地域全体を指す通称として用いられていた)。確証分布は西オーストラリア州南西部に集中し、エスペランス東のデューク・オブ・オーリンズ湾からジェラルトン北のブラフ・ポイントまでの範囲で記録される。日本では駿河湾から Aplysia extraordinaria Allan, 1932 として記録があり、A. extraordinaria を本種のシノニムとみなす立場では、本種の分布は北西太平洋にまで及ぶ。種小名の由来
種小名 gigantea はラテン語で「巨大な」の意。最大 60 cm に達する本属屈指の大型種であることを指す。補足
オーストラリア南西部では夏 (1〜3 月) を中心に大規模な海岸への打ち上げが起こり、数百個体が砂浜に積もることがある。雌雄同体で、繁殖期には 2〜20 個体が連なる交尾鎖を形成し、それぞれが前の個体に対しては雄、後ろの個体に対しては雌として機能する。摂食する紅藻由来の二次代謝産物が体内に蓄積し、墨やオパール状分泌物に毒性を与えていると考えられている。Aplysia extraordinaria Allan, 1932 は本種のシノニムとみなされる立場が長く知られるが、正式な分類学的決着はついていない。References
- Aplysia gigantea n. sp., Sowerby G.B. II (1869). Monograph of the genus Aplysia. In: Reeve L.A. (ed.), Conchologia Iconica, or, Illustrations of the shells of molluscous animals, vol. 17. L. Reeve & Co., London. [August 1869]
- ジャンボアメフラシ(新称), 鈴木敬宇. (2000). ウミウシガイドブック〈2〉. TBSブリタニカ.
- 高岡生物研究会. (2002). 日本海のウミウシ. 第2版.
- アプリシア・ギガンテア, 中野理枝. (2004). 本州のウミウシ. ラトルズ.
- ショウワアメフラシ(馬場新称), I.Hamatani & Baba, K. 2004. A New Record of Aplysia (Varria) extraordinaria (Allan, 1932) (Opisthobranchia: Anaspidea) from Suruga Bay, Japan
- ゾウアメフラシ, 中野理枝. (2018). 日本のウミウシ. 文一総合出版.
- ゾウアメフラシ, 小野篤司 & 加藤昌一. (2020). 新版 ウミウシ. 誠文堂新光社.
本書に掲載されています
小野篤司 & 加藤昌一. (2020). 新版 ウミウシ. 誠文堂新光社.
誠文堂新光社
本書には Aplysia gigantea の解説・写真が掲載されています。
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